情報: ヴァトナヨークトル氷河
ヴァトナヨークトル氷河はヨーロッパ最大の氷河であり、アイスランドの国土の8%を占めています。
ヴァトナヨークトル氷河は非常に大きな氷河であるため部分的ではありますが、セルフドライブツアー、パッケージツアーや南海岸ツアー等に含まれています。夏のセルフドライブツアー 10日間やサマーパッケージ6日間では特に多くヴァトナヨークトル氷河を訪れる機会が盛り込まれています。もちろんレンタカーで訪れることも可能です。
ヴァトナヨークトル氷河はアイスランド南西部にあるヴァトナヨークトル国立公園内のメインアトラクションであり、スカフタフェットルでの氷河ハイキング、ヨークルスアゥルロゥン氷河湖でのボートツアーや11月から3月のみアクセスができる氷の洞窟のツアー等のアクティビティに参加できる場所として大変人気です。
ヴァトナヨークトル氷河について
ヴァトナヨークトル氷河の表面積は約8,100 km² ですが、気候変動により急速に縮小しています。但しラングヨークトル氷河やミールダルスヨークトル氷河等の他の氷河程縮小は加速していないとされています。ヴァトナヨークトル氷河の最大の厚さは1kmに及びますが、平均の厚さはその半分も満たさない程度です。
ヴァトナヨークトル国立公園には、ヨーロッパ最大の氷河だけでなく、標高2,106メートルのアイスランドの最高峰クヴァンナダルスフニュークル山があります。またヴァトナヨークトル氷河の下には、アイスランドの他の多くの氷河の下と同様に活発な火山が存在します。最も顕著な火山は、グリムスヴォトン山、オーライヴァヨークトル氷河火山やバゥルザルブンガ山です。
この地域の火山活動は何世紀にもわたって頻繁に発生しており、多くの地質学者は、いくつかの噴火が遅れていると考えています。彼らの計算が正しければ、半世紀以内に大きな火山活動が発生する可能性が高いと言えます。
実際噴火が発生した場合には、風向きにもよりますが、アイスランド周辺の飛行、農業、一般的な気候等の面で世界的な影響を及ぼすでしょう。
非常な大きなヴァトナヨークトル氷河は、その末端から、溢流氷河または流出氷河と呼ばれる30個にも及ぶ小さな氷河が各方角に手足のように伸び、それぞれに個別の氷河名が付けられています。その中でも、北部に位置するディンギュヨークトル氷河、南部に位置するブレイザメルクルヨークトル氷河やスケイザラゥルヨークトル氷河等が有名な溢流氷河です。西部には、シーズヨークトル氷河、スカフタゥルヨークトル氷河やトゥングナアゥルヨークトル氷河等があります。
ヴァトナヨークトル氷河からは多くの川が流れており、アイスランドでも有数の氷河川を創り出しています。
有名な川は下記の通りですː
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Tungnaá (西部)
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Köldukvísl (西部)
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Þjórsá (西部)
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Jökulsá á Fjöllum (北部)
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Skjálfandafljót (北部)
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Jökulsá á Brú (北東部)
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Jökulsá í Fljótsdal (北東部)
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Jökulsá í Lóni (南部)
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Hornafjarðarfljót (南部)
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Jökulsá á Breiðamerkursandi (南部)
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Skeiðará (南部)
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Núpsvötn (南部)
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Hverfisfljót (南部)
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Skaftá (南部)
ヴァトナヨークトル国立公園
ヴァトナヨークトル国立公園は2008年6月設立後、周辺エリアが追加されていき徐々にその面積は拡大していきました。公園は現在、面積14,141㎢で国土の14%を占めており、ヨーロッパで2番目に大きい国立公園です。
公園の北側にある高原を川が分断して流れています。ヘルズブレイズ火山はアスキャ山、スナイフェル山、クベルクヒョークトル山と並んで、この地域にそびえ立っています。
ヨークルスアゥルグリューフル渓谷は何世紀も前に氷河洪水によって形成されました。渓谷の上端には、ヨーロッパで最もパワフルな滝、デティフォスの滝があります。さらに北へ進むと馬の蹄のような形をしたアゥスビルギ渓谷を見つけることができます。この渓谷は北欧の神話の主神、オーディンが乗った8本足の馬が天から足を降ろした時に形成されたという伝説があります。
スネフェル周辺の東側には湿地帯や山脈があり、野生のトナカイの群れや豊富な鳥類の生息地となっています。ヴァトナヨークトルの南側には、険しい山々が連なり、また溢流氷河が低地を這うように存在します。スケイザルアゥルサンドゥルの黒い砂原も南部にあり、氷河川スケイザラゥはこの広大な砂漠を流れています。
国立公園内で最も人気のスポットの内の1つは、ヨークルスアゥルロゥン氷河湖です。ヨークルスアゥルロゥン氷河湖はブレイザメルクルヨークトル氷河の麓に位置します。この氷河湖では氷河が湖に崩れ落ち、氷山や流氷として湖に浮かぶ姿が美しく、人々を魅了しています。湖内の氷塊は水の流れに乗ってゆっくりと海へと移動していき海を漂うか、又はダイヤモンドビーチへ流れ着きます。ダイヤモンドビーチはアザラシ観察スポットとして有名な場所でもあります。
ヴァトナヨークトル氷河の今後の姿
ヴァトナヨークトル氷河の大きさは1930年頃にピークに達し、その後は着実に縮小しています。世界的な気温の上昇により、ヴァトナヨークトル氷河は過去15年間で平均して毎年約1mの厚さを失っています。
今後地球の気温上昇が続くようであれば、次の世紀末には氷河はほどんどなくなってしまい、山の山頂に小さな氷が残るだけになるかもしれません。
氷河の周りでは気温低下の実績のある、森林再生プロジェクトが行われています。このプロジェクトの成果は時が経てばわかることでしょう。
ヴァトナヨークトルとヨークルスアゥルロゥン地域における人気の文化
ヴァトナヨークトル国立公園の美しさはメディアの目に留まり、映画の撮影地として人気の場所です。一例ですが、ジェームズボンドでおなじみ007シリーズでは二作品(ダイ・アナザーデイや美しき獲物たち)、トゥームレイダー、バットマンビギンズやインターステラー等の映画の一部シーンがヴァトナヨークトル国立公園で撮影されました。
その中でも一番有名な最近の作品は、アメリカの人気ドラマのゲーム・オブ・スローンズでしょう。ヴァトナヨークトルの様々な場所が作品内で登場します。その中でも壁の北が印象に残る場所ではありますが、壁自体は氷河とCGを合成して撮影されています。