
クヴァールフィヨルズル(Hvalfjörður)は、アイスランド南西部に位置するフィヨルドです。全長は約30km、幅はおよそ5kmに及びます。
自然と風景
クヴァールフィヨルズルの風景は多彩で美しく、雄大な山々を背景に広がる平野や、夏には青々とした草木が生い茂る緑地、小川が流れ込む海岸線などが魅力です。
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クヴァールフィヨルズル一帯は鳥類が豊富で、アザラシも生息しています。ただし、その名前が「クジラのフィヨルド」という意味であるにもかかわらず、この地域ではクジラやイルカの群れが見られることで知られているわけではありません。この名前の由来については二つの説があります。一つは、かつてこの地域にクジラが生息していたものの、魚群の移動に伴って姿を消したという説。もう一つは、湾の形がクジラを思わせることから名付けられたという説です。
近年、この地域はアイスランドで進められている森林再生プロジェクトの成功例の一つとなっています。
自然の見どころも豊富で、なかでも特に有名なのが、ボッツアゥ川(Botnsá)にかかるアイスランドで最も高い滝、グリームル滝(Glymur)です。また、周辺には魅力的なハイキングコースも多くあり、北に伸びるスィルダルマンナゲートゥル(Síldarmannagötur)や、東へ進みシンクヴェトリル国立公園(Þingvellir National Park)方面へと続くレッグヤブリョウトゥル(Leggjabrjótur)などがあります。アイスランドのハイキングについてはこちらの記事も合わせてどうぞ!
クヴァールフィヨルズルでおすすめのアクティビティ

クヴァムスヴィーク温泉(Hvammsvik Hot Springs)で入浴
クヴァールフィヨルズルにあるクヴァムスヴィーク温泉(Hvammsvik Hot Springs)で温泉浴を楽しむことは、このエリアを訪れたらぜひ体験したいアクティビティの一つです。この温泉リゾートには、クヴァールフィヨルズルとその周囲の壮大な自然を望む8つの温泉プールがあり、パドルボード、ヨガ、釣り、ゴルフ、サイクリング、農場見学、そして勇気のある人にはウィム・ホフ・メソッドの体験など、さまざまなアクティビティも楽しめます。冬の晴れた夜には、オーロラが活発なときに遮るもののない美しい光景を楽しめる絶好の場所にもなります。
クヴァムスヴィーク温泉の最大の特徴は、地下水と海水が混ざり合った温泉であること。その水質は潮の満ち引きや季節によって変化し、訪れるたびに異なる体験ができるのです。
施設内には「ストルムル・ビストロ(Stormur Bistro)」というレストランも併設されており、地元の食材を使った心も体も温まる軽食が楽しめます。特に人気なのが、海の幸をふんだんに使ったシーフードスープで、多くの来場者から好評を得ています。
絶景に包まれながら、地熱温泉にゆったりと浸かる特別なひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。クヴァムスヴィーク温泉のチケット予約はこちら。レイキャビク市内中心部からの送迎付き入場チケットもご予約いただけます。
グリームル滝(Glymur)へのハイキング

クヴァールフィヨルズルで特に注目すべき観光スポットのひとつが、グリームル滝です。落差は198メートルで、アイスランドで2番目に高い滝として知られています。
グリームル滝へのハイキングでは、峡谷や洞窟、川を渡るルートをたどりながら、滝を見渡す壮大なパノラマを楽しむことができます。駐車場から滝までは約7kmで、難易度は中級程度です。
この特別な体験を最大限に楽しむには、プライベートガイド付きのハイキングツアーへの参加もおすすめです。ただし、冬季は天候が読めず、道が滑りやすくなるうえ、トレイルも不整備になるため、ハイキングは非常に危険で困難になります。
クヴァールフィヨルズルでオーロラを探す
クヴァールフィヨルズルは、9月下旬から4月上旬にかけてのオーロラ鑑賞に理想的なスポットです。街の明かりや光害から離れた場所にあるため、肉眼でオーロラを見られる貴重なチャンスがあります。
レンタカーを使い、アイスランドのオーロラ予報を参考にしながら自分で観測地を探すこともできますし、専門ガイドがベストな場所へ案内してくれるオーロラツアーに参加するのもおすすめです。
クヴァールフィヨルズルへの行き方
クヴァールフィヨルズル行くには、レンタカーやキャンピングカーを借りて、風光明媚なセルフドライブを楽しむのがおすすめです。国道1号線、いわゆる「リングロード」を走行中であれば、クヴァールフィヨルズルは絶好の寄り道スポット。美しい景色が続き、写真映えする場所にも数多く立ち寄れます。まだあまり観光地化されていないため、手つかずの自然に囲まれた静けさを味わいたい方には特におすすめです。
クヴァールフィヨルズル・トンネル
かつてクヴァールフィヨルズルを通過するには、約62kmの長距離ドライブが必要でした。しかし1998年に「クヴァールフィヨルズル・トンネル(Hvalfjörður Tunnel)」が開通したことで、アクセスが大幅に改善されました。このトンネルはフィヨルドの下を通る全長約5.77kmの道路で、所要時間が大きく短縮され、地元の人々や旅行者にとってより訪れやすいエリアとなっています。トンネル通行料はかかりません。
クヴァールフィヨルズルの歴史と文化

上の写真:ウィキメディアより、クリエイティブ・コモンズライセンスのもと、Axel Kristinsson氏撮影。加工は一切行っていません。
第二次世界大戦の遺産
第二次世界大戦中、クヴァールフィヨルズルは大西洋の船団護衛における戦略的要所であったため、イギリス軍とアメリカ軍の海軍基地がこの地に築かれました。当時建設された桟橋やその他の施設の一部は、現在でもその姿をとどめています。
クジラ処理場の存在
クヴァールフィヨルズルには、1948年にミズサンドゥル(Midsandur)に建てられたアイスランド人資本による初の捕鯨施設があります。この施設は現在も稼働しており、アイスランドの海洋文化における捕鯨の歴史を今に伝える存在となっていますが、その存在は現在も議論の的となっています。
クヴァールフィヨルズルの著名な人物たち
クヴァールフィヨルズルは、アイスランドを代表する賛美歌詩人ハルグリームル・ピェートゥルソン(Hallgrímur Pétursson)が暮らした地として知られています。また、詩人で芸術家、さらにアイスランド異教協会の代表を務めたスヴェインビョルン・ベインテインソン(Sveinbjörn Beinteinsson)もこの地で生活していました。
グルンダルタンギ工業地帯
クヴァールフィヨルズルに位置するグルンダルタンギ(Grundartangi)工業地帯には、国内最大級の港湾施設と2つの大規模工場があります。一つは1979年に操業を開始したフェロシリコン工場、もう一つは1998年から稼働しているアルミニウム精錬所です。これらの施設は建設時から現在に至るまで環境面での議論が続いており、捕鯨や水力発電ダムと並び、アイスランドの環境問題における最も議論の多いテーマのひとつとなっています。






