白夜を楽しむアイスランドホース

アイスランドの馬はユニークだと言われていますが、本当のところ、何がユニークなのでしょうか。アイスランドの馬たちの歴史や、乗馬の楽しみ方をご紹介します。



アイスランドの馬たちの歴史

ヴェストラホルヌ(Vestrarhorn)の山を背景に撮影されたアイスランドの馬

アイスランドの馬たちの歴史は、ヴァイキングたちのアイスランドへの移住とともに始まります。ヴァイキングたちがアイスランドに移住をした9世紀後半から10世紀前半、馬たちもヨーロッパ大陸からアイスランドに持ち込まれました。正確な馬種は不明ですが、船での移動に耐えうる背の低くしっかりとした、あまり大きくない種類の馬を選んだとも言われています。

移住者とともに持ち込まれた馬たちは、アイスランドという小さな島の中で繁殖を重ね、アイスランドに適した馬となりました。厳しい冬には厚い毛皮をまとい、夏には薄い毛に生え変わります。このアイスランドという環境に適応したアイスランドの馬たちは、一年中吹く強い風、吹雪に耐えるだけでなく、凍えるような冷たい川を渡ったり、溶岩の砂でできた砂漠など、厳しい地でも人々の移動手段として活躍することができます。

がっしりとした体格のアイスランドの馬

また、アイスランドの馬たちは、世界的に見ても混血の少ない種類です。ヨーロッパ大陸や他の地域では馬の移動もあり他種との交配が進みましたが、アイスランドでは新たに持ち込まれる馬はほとんどなく、他種との交配は少なかったのです。

およそ900年前、アイスランド以外の種との交配が試されましたが、その結果は思わしくないもので、アイスランドの馬たちに打撃を与えました。その後、アイスランドの馬たちの保護がより重要視されるようになり、寿命年数が伸び、健康な馬となりました。平均的な寿命は40年ですが、中には59歳まで生きた馬もいました。

アイスランドの馬の一番ユニーク特徴として、他の馬種にはできない歩き方(歩法)というのがあります。通常、馬は3種類の歩き方ができますが、アイスランドの馬は5種類の歩き方ができます。

この他の種の馬にはできない2つの歩き方のできの良し悪しにより、アイスランドの馬の価値は大きく変わります。

5つの歩き方のあるアイスランドホース写真: 'Dagur Brynjólfsson'. Wikimedia Creative Commons.

ユニークな1つ目の歩法は、トルト(tölt)というものです。この歩き方はスピードがありながらもスムーズで、乗る人に負担が少なく、無理なく早い速度で移動できるという利点があります。

2つ目の歩法は、スケイズ(skeið)というもので、リズミカルなギャロップで時速48㎞もの速さで走ることができます。

アイスランドの馬は毛並みの種類が多く、色だけで40種類、模様も含めると100種類以上にもなります。

 

Icelandic horses in the midnight sun

アイスランドの馬は、その小さな体のためにポニーと呼ばれることもありますが、アイスランドの人たちは「馬」に誇りを持っていますので、ポニーだ!なんてからかわないようにしましょう。

冬にはモフモフとするアイスランドの馬

アイスランドの馬たちの人気は、その温厚な性格にもあります。元気で朗らかな性格であると同時に、優しく人間を気遣う性格でもあります。もともと哺乳類は北極キツネしか存在しなかったアイスランドで、馬たちの天敵となるような動物はいませんでした。そのため警戒心は弱く、フレンドリーです。

生物学的なユニークさ、そしてこの温厚でフレンドリーな性格のため、アイスランドの馬たちはアイスランド人のみならず、世界中の愛好家に愛されている動物です。

アイスランドを旅行していると、放牧されている馬たちをよく見かけます。フレンドリーな馬たちは、もしかしたら柵のそばまで近寄ってくるかもしれません。優しく接してあげましょう。

注意

・草やえさなど、食べ物を与えない。広大な放牧地には食べ物となる草がたくさんあります。人間の手で過剰にえさを上げることは、動物の健康を害することにつながります。

・私有地だということに注意。牧草地は私有地で、もちろん馬たちはだれかの所有物です。柵を越えたりすることはやめましょう。

・車を止める場所に注意。道端で馬を見かけるとすぐに車を停車させたくなりますが、後方の車や、路肩の状況など、きちんと確認しましょう。無理に車を止めるのは危険です。

・馬たちにもフレンドリーに接する。なかには、触らせてくれる馬たちもいますが、イタズラなどは決してしないように。また、勝手に乗馬してしまうなんてことは論外です!

アイスランドの馬たちを写真に収めるだけでなく、実際に触ってみたいということであれば、乗馬ツアーに参加するのがお勧めです。

アイスランド人の生活との関わり

定住の歴史とともに、アイスランドの馬たちの歴史が始まったことからも明白なように、アイスランド人の生活に馬たちの存在は欠かせないものでした。車は道路のなかった時代、広大な荒野を移動するには、馬というものが一番安全で確実な移動手段でした。吹雪で迷ったときなどにも、救助が来るまで人に寄り添い体をあたためたり、馬が自分で村まで帰ってきたなどの話は多く、まさに命を懸ける仲間だったのです。

現在でも、山岳地帯に放牧された羊を囲い込むのに馬は使われていますし、競技会も頻繁に行われています。また、趣味として乗馬を楽しむアイスランド人も少なくありません。

スコゥガフォスの滝の前にいるアイスランドの馬

このように、身近な存在である馬たちも、アイスランドでは食用となります。全てのアイスランド人が好んで馬肉を食べるわけではありませんが、スーパーでも普通に売られています。

しかし、馬肉を許容するかどうかというのは、他の国々同様に難しい問題です。アイスランド人が10世紀にキリスト教に改宗すると、馬肉の消費は禁止されました。他に食べるものがなかった貧しい人たちは馬肉を食べるしかありませんでしたが、大きな非難の的で、多くの人たちは馬肉を食べるくらいなら空腹で死ぬことを選んだといいます。

冬の乗馬ツアーの様子

現在のアイスランドでは、子供たちも乗馬を楽しみ、海外からの旅行者にも人気のあるアクティビティのひとつです。

アイスランドの馬たちはとても温厚なので、初心者でも問題なく乗馬体験ができます。アイスランドに来たらぜひ馬の背にゆられ、ヴァイキングたちの時代から変わらない風景や自然を楽しんでみてください。バスや車とは違う、ユニークな経験となるはずです。

乗馬ツアー

アイスランドの各地で乗馬ツアーに参加することができます。レイキャビク近郊でも手軽に乗馬体験ができるので、半日空いた時間や、ゴールデンサークルとともに楽しむという手もあります。農場にあるコース内だけでなく、周辺の放牧地や川沿いなど、美しい自然の中をゆっくりと移動するのも大きな魅力です。

乗馬の際には、しっかりとした靴や暖かい服装でツアーに参加しましょう。また、動きやすい服装であることも大事です。

厩舎でヘルメットなどを受け取ったら、馬のいる場所へ。参加者ひとりひとりの経験に合わせて、最適な性格の馬を選んでくれますので安心です。馬の名前も教えてくれますので聞き逃さないように!

乗馬中は危ないので写真撮影などはできません。両手で手綱を持ちますので、どうしても写真を撮りたい場合にはガイドさんにお願いしましょう。

また、厩舎の中には入れなくても近くで馬を見ることができるので、早めに到着しても写真を撮ったりすることができます。

ツアーによっては小さなお子様でも参加できる場合があります。コース内を手綱を引いてもらったり、乗馬をしなくても馬とふれあうというだけでも、素敵な経験となるでしょう。

興味はあるけど、少し心配。家族で乗馬体験をしたい、などご要望があればお気軽にお問合せください。


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