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アイスランドがヨーロッパのホエールウォッチングのメッカと言われていることを知っていましたか?この記事ではアイスランドのホエールウォッチングについて役に立つ情報を紹介します!
アイスランドの自然の魅力を堪能するネイチャーツアー
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アイスランドの民話には、鯨の話が多くあります。アイスランドの文化と経済やその歴史との関りを読み取ることもでき、アイスランド人の生活に深くかかわっていたことがわかります。
ある物語では、海で遭難したと思われていた男性が一年後に発見されて生まれ故郷の村に戻ることが出来ました。彼はある女性によって救助され、行方不明になっていた一年の間二人は一緒に過ごし、女性は子供を身籠りました。この女性が赤ん坊と一緒に村を訪れた時、男性は赤ん坊が自分の子供であると認めることを拒みました。すると女性は呪いをかけ、男性を悪魔の鯨に変えてしまいました。恐ろしい鯨に姿を変えた男性はその後、村人たちの船を襲うようになってしまいました。
悪魔の鯨はアイスランドの民話によく登場します。例えば、ヘイムスクリングラ(Heimskringla)と呼ばれるサガには、ずる賢いデンマークのハーラル王がアイスランドの攻撃を計画していた時、ある魔法使いを鯨に変身させて島の偵察の為に送り出したと記されています。
しかし、鯨の魔法使いが岸に近付こうとすると、そのたびにアイスランドの守護者たちに追い返されてしまいます。4回挑戦しますが、その都度アイスランドの守護者である4体のランドヴィーッティル(Landvættir)が立ちふさがり、ハーラル王の努力は無駄に終わります。ランドヴィーッティルとよばれる、東の竜、北の鷲、西の雄牛、南の山の巨人はデンマークからの侵略を防いだのです。
その他にもアイスランド人と鯨の出会いを描く物語は数え切れないほど存在します。しかし、ホエールウォッチングが始まったのは1991年と、最近のことです。
1998年12月1日のケイコの姿, 1998. 写真. Wikimedia Creative Commons.
様々な種類の鯨が回遊するアイスランドの海ですが、一番有名な個体は1993年の映画「フリー・ウィリー」でウィリー役を演じたオスのシャチ、ケイコでしょう。ケイコは1979年にアイスランド東部のレイザルフィヨルズル(Reyðarfjörður)のフィヨルドで2歳の時に捕獲されました。その後、様々な水族館や遊園地の間で売買され、ワーナー・ブラザース・スタジオの映画に出演するまで観客を楽しませる芸を仕込まれます。
ケイコが一躍スターとなった後、ケイコにとってより良い生活環境を探す目的で1995年にフリー・ウィリー基金が設立されました。1998年にケイコが米空軍の輸送機C-130に乗せられ、アメリカから生まれ故郷のアイスランドに無事到着した際は、世界中に感動をもたらしました。ケイコはやっと他のシャチと一緒に大海原を泳ぐことができるようになったのです。
しかし、長い間人間に管理されていたケイコは、すぐには野生に戻ることはできません。ケイコはそれから数年間ウェストマン諸島のクレッツヴィーク(Klettsvík)湾で過ごし、野生に帰るための徹底した訓練を受けます。
2002年8月、ケイコは野生のシャチに合流してアイスランドの領海を離れました。しかし、9月にはノルウェーのフィヨルド(Skålvik Fjord)に現れ、人との接触を必死に求めてきたのです。野生への復帰は失敗し、翌年の12月12日、ケイコはノルウェーのフィヨルドで肺炎により死亡しました。27歳でした。
アイスランドでケイコほど注目を集めた海洋動物はいないでしょう。ケイコが亡くなってから、アイスランドでのホエールウォッチングには多くの人がつめかけるようになりました。海を自由に泳ぐ鯨を一目見ようという人々によってホエールウォッチング産業は急成長しました。2016年にはアイスランドの人口に近い、30万人弱の人々がアイスランドの港からホエールウォッチングのツアーに参加しています。
ケイコの古巣であるクレッツヴィーク湾はあらたな住居人を迎えました。シロイルカのリトル・グレイとリトル・ホワイトです。2匹は2019年6月30日に上海のアミューズメントパークからウェストマン諸島に連れてこられました。
ケイコの人気とホエールウォッチング産業への注目にもかかわらず、現在でも捕鯨は行われています。アイスランドの捕鯨は12世紀より行われており、伝統産業でもあるのです。
1986年、アイスランドの4隻の捕鯨船のうち2隻が反捕鯨を掲げる保護団体、シーシェパードによって沈められました。(下の写真参照)この時、既に論争の的だったアイスランドの捕鯨産業は、世界中からさらに多くの注目、そして批判を浴びることとなったのです。
皮肉なことに、捕鯨船はホエールウォッチングのツアーの出航場所のすぐ隣に係留されている。
この事件により、様々な動物権利団体間で激しい国際論争が起きましたが、シーシェパードはその議論の結果には納得しませんでした。多くの環境学者は、シーシェパードの戦略や抗議行動は行き過ぎていると非難し、場合によってはテロ行為であるとも指摘していたからです。
一方、アイスランドの一般市民は、この沈没事件は外国からの侵略だと感じていました。そのため、今まで人気がなかった捕鯨産業を支持するようになりました。沈められた2隻の船はすぐ引き上げられ、以前より大きなサポートを得た捕鯨産業は鯨の捕獲売買を続けていったのです。
しかし、アイスランドのホエールウォッチング産業の成功に伴い、捕鯨は近年減少しています。アイスランド人が消費しているアイスランド産の鯨肉は全体の2%で、残りは日本に輸出されるか、観光客に提供されてるのみなのです。
今日のアイスランドでは、商業捕鯨は古い慣習であると考えられ、徐々になくなりつつあります。
かつて使われていた捕鯨船の多くは、野生の鯨を観察し、研究するために現在は使用されています。そして、アイスランド・ホエールウォッチング協会(IceWhale)では、近い将来にアイスランドの商業捕鯨を完全になくすことを目指しています。
写真 WDC、アイスランドで見られる主な鯨やイルカ
アイスランドの海には鯨の餌となるオキアミや魚が豊富に存在します。夏のあり余る日光と、浅いフィヨルドで交わる冷たい海流と暖かい海流が、鯨に絶好の餌場を提供しているのです。豊かな海は、巨大なマッコウクジラから穏やかで小さなネズミイルカまで、23種類の鯨やイルカが共存する環境を作り出しました。
もちろん、一回のホエールウォッチングツアーで23種類全ての鯨を見られる訳ではありません。季節や出航する港によって見られる鯨の種類は多少異なります。ミンククジラは年中アイスランドのどこででも見ることができる鯨として知られています。
アイスランドのホエールウォッチングの魅力は、そのツアーの種類やアクセスの良さにもあります。
例えば、レイキャビクのオールドハーバーから出航するツアーなら、ダウンタウンの散策のついでに気軽に参加できます。また、このツアーの中にも大型の船で快適に鯨を観察するもの、小型のRIBボートで水面すれすれを移動するものなど様々です。アイスランド北部では、アークレイリやフーサヴィークからボートツアーに参加することもできます。
また、鯨以外にもイルカも見られますし、夏にはアイスランドの人気の鳥、パフィンを見ることもできます。パフィンは大きな群れで沖合の島や海岸の崖などで繁殖をしています。鯨は沖合、パフィンは海岸沿いと、少し違うエリアなので、ボートツアーは別々になっていることがあります。
迷ってしまうほどにたくさんあるホエールウォッチングツアーですが、ピッタリのツアーを見つけてみましょう。
ホエールウォッチングやボートツアーは海に出ますので冷たい風が吹いています。なるべく防寒対策をしっかりとして参加しましょう。また、酔いやすい人は酔い止めの準備を。お子様でも参加できますので、家族旅行にもぴったりです。
風が強い日など、海が荒れる日にはツアーが中止となる可能性もあります。その場合には別の日に振り替えもできますので、オペレータへ連絡をしてみましょう。
★スナイフェルスネス半島、オゥラフスヴィーク発のホエールウオッチングツアー