アイスランドの変な伝統料理たち
- 1. サメ肉 ハウカットル Hákarl
- 2. ブレンニヴィン Brennivín
- 3. ラムの睾丸 スーリル・クルットスプンガル Súrir hrútspungar
- 4. ライ麦の温泉蒸しパン ルーグブロイズ Rúgbrauð
- 5. タラの干物 ハルズフィスクル Harðfiskur
- 6. 羊の頭 スヴィズ Svið
- 7. 内臓のソーセージ スラウトゥル Slátur
- 8. 羊肉の燻製 ハンギキョット Hangikjöt
- 9. 葉っぱパン ルイヴァブロイズ Laufabrauð
- 10. タラの塩漬け サルトフィスクル Saltfiskur
- 11. 肉パテ キャイヴァ Kæfa
- 12. クジラ Hvalkjöt
- 13. タラの舌 ゲルル Gellur
- 14. クジラの脂身 クヴァルスピック Hvalspik
- 15. 魚の詰め物 クットマーガル Kútmagar
- 16. 魚団子 フィスキボルル Fiskibollur
- 17. パフィン料理 ルンディ Lundi
- 18. 羊肉のスープ キョットスーパ Kjötsúpa
- 19. フィッシュスープ フィスキス―パ Fiskisúpa
- 20. スキール Skyr
- おまけ ラックリス Lakkris
今回はアイスランドの伝統的珍味をご紹介します!
アイスランド人って何者?変わった食文化のあるアイスランド人についてチェック!
アイスランド料理と言えば、美味しいラムやシーフード料理で有名です。美味しい伝統料理は盛りだくさん。しかし「何でこんなもの食べるの?!」と言いたくなるようなものも沢山あります。一生に一度は食べなきゃ損という絶品から、かなりグロテスクな食べ物まで、興味津々のアイスランド伝統食をリストアップしました。
下の動画では、弊社の社員がイギリス人観光客にアイスランドのゲテモノ系珍味を紹介している様子が見れます。彼らのリアクションは決してオーバーではありません!
現在のアイスランドでは、青果や生野菜が店頭に並んでいます。街で指折りのレストランでは、新鮮な食材を使った美味しい料理を提供しています。また、フード&ファン・フェスティバルではトップレベルのシェフが世界中から集い、腕を振るいます。ですがこのようなハイエンドのグルメ文化は、ここ数年で始まった新しいトレンドで、決してアイスランドの伝統文化ではありません。
過去数百年もの間、アイスランド人は厳しい冬を生き抜くために保存食を作ってきました。そのため、伝統的な食べ物と言えば肉や魚の燻製や漬物、そして乾燥したものが主流でした。味や見た目を考慮したものではなく、はっきり言ってマズイものもありますが、全てアイスランドの食卓を支えてきた大事な食べ物です。
1. サメ肉 ハウカットル Hákarl
アンモニア臭がもの凄い、サメ肉です。サメ肉を地面に埋めたり、4~5カ月干したりして酸を取り除き、発酵させます。サメ肉自体は毒素が強くそのままでは食べられませんが、発酵させることで調理してなくても食べられるようになります。
アイスランド人は冗談で「サメ肉に尿をかけて、地面に埋めて腐らせたもの」なんて言いますが、腐っているわけではなく発酵したものです。そして昔は本当に尿が使用されたこともあるようですが、現在ではもちろんそのようなことありません。アンモニア臭はサメ自体から発生するものなのでご安心を。
味はというと、口に含んで少ししてから、強い風味が襲ってくるという感じです。クセのあるチーズが好きな人でしたら美味しく感じるかも知れません。驚くことに、アイスランドの年配の方々はサメ肉を本気で美味しいと思いながら日常的に食べています。スーパーでも普通に売られていますよ。
スーパーで買っても食べきれないけど、一口は味見したい!という方には、サンプルサイズがお勧め。レイキャビクのダウンタウンで週末に開かれるコーラポルティズ・フリーマーケット(Kolaportid flea market)で売っています。観光客のリアクションを見るのを楽しみにしているお店の人々が、皆さまをお待ちしています。ブレンニヴィン(Brennivín)というアイスランド名物の強い蒸留酒と、サメ肉を一気にのどへ流し込むのがバイキング流です。
また、このサメ肉の周囲にいた場合、洋服にも匂いが移るので食べ終わったら即洗濯機に入れる必要があります。
2. ブレンニヴィン Brennivín
(Photo credit: Iceland Magazine)
ブレンニヴィンは「炎のワイン」という名の、ジャガイモとキャラウェイという果実を発酵させた蒸留酒です。別名を「ブラック・デス(Black Death)」ともいい、かなり強いお酒なのですが、発酵したサメ肉や羊の睾丸などを食べる時に、口の中をサッパリと洗い流してくれる有難いお酒です。
アイスランドといえばブレンニヴィン。お土産用のミニボトルも販売されていますよ。
3. ラムの睾丸 スーリル・クルットスプンガル Súrir hrútspungar
えぇー!?と思われるかも知れませんが、アイスランド人は羊の睾丸を食べます。アイスランドは元々貧しい国だったので、農民達は食べられるものなら何でも食べなくてはいけませんでした。今では日常的に食されることはありません。保存食なので酸味があるのですが、もう二度と食べたくない味です。
4. ライ麦の温泉蒸しパン ルーグブロイズ Rúgbrauð
これは安心して美味しく頂ける一品です。伝統的には木製の樽にパン生地を入れ、温泉が湧いている付近の地面に一晩埋め、地熱で蒸します。ほんのり甘い黒蒸しパンで、今でも国民に大人気。バターを塗ったり、スモークされた羊肉や魚を載せたりして頂きます。
5. タラの干物 ハルズフィスクル Harðfiskur
タラを干したもので、バターを塗って頂きます。少しパサついているので、バターの油分が絶妙に合います。ビーフジャーキーならぬ、「フィッシュジャーキー」とでも言いましょうか、おつまみやおやつにぴったり。栄養価も高く、100グラム中80%以上がプロテインです。アイスランド人のみならず外国人にも好評です!お土産にもどうぞ。
6. 羊の頭 スヴィズ Svið
左の皿、上から左周りに、ハンギキョット、フルートゥスプルングル、レバーソーセージ、ブラッドソーセージ、ハウカットゥル、スヴィズ。右の皿、上がライ麦パン、下がフラットコークル。
メラブージン(Melabúðin)というレイキャビク西部にある小さなお店など、スーパーでは調理済みの頭を売っていることがあります。または、冷凍されて売っていることも。アイスランドでは羊の脳以外の全ての頭部を食べます。頬と舌がとっておきの美味しい部分。目玉が一番だという人もいます。見た目はグロテスクですが、羊肉そのものの味なので、ラムが大丈夫な人ならおススメ。
レイキャビク市のBSIバスターミナル内にあるフリョット・オグ・ゴット(Fljótt og Gott)というカフェテリアでは、ドライブスルーもあり、いつでも気軽に羊の頭料理が楽しめます。他にも「羊頭ジャム」(スヴィザスルタ sviðasulta)という、羊の頭部分の肉を細かくして固めたものもあり、パンにのお供に欠かせません。
7. 内臓のソーセージ スラウトゥル Slátur
アイスランド語で「屠殺」という意味の生々しい名前が付いた詰め物料理。羊の内臓や血、そして脂肪から作られています。上述の羊の頭と共に食べたり、また変な組み合わせですがライスプディングに添えられたりします。
スラウトゥルは2種類あり、赤黒い方は「血のプディング」、白っぽい方は「レバーのソーセージ」です。イギリスやアイルランド、またスコットランドでも似たような詰め物料理が見られますが、舌触りの滑らかさではスラウトゥルが一番!輪切りにして砂糖をまぶして食べるのがアイスランド流です。国内では老若男女問わず誰にでも受けの良い一品。
8. 羊肉の燻製 ハンギキョット Hangikjöt
(Photo credit: Lambakjöt.is)
アイスランドのクリスマスには欠かせないのがスモークラムやスモークマトンです。樺の木や羊糞で燻したもので、茹でてから輪切りにし、グリーンピースやジャガイモを添え、ベシャメルソースに似たホワイトソースをかけます。「葉っぱパン」という名のクラッカー状のパンを一緒に食べることも。お肉は冷めても美味しく食べられます。スーパーマーケットでは薄切りにされた出来合いのものが売られ、そのままパンにのせて食べられます。
近年は羊肉の「二度燻し」なるものが登場し、茹でずに生で食べられると人気を博しています。塩味が強く独特の燻製の風味が強いですが、アイスランド伝統食を代表する「美味しい」料理です。
9. 葉っぱパン ルイヴァブロイズ Laufabrauð
とても薄い丸いパンで、どちらかというとクラッカーというのが正しい表現かもしれません。パリパリしていて、味自体はあまりなく、バターを付けて食べます。クリスマスに家庭で手作りされるのが伝統です。生地に葉脈のような模様を刻んでから、油で揚げます。代々受け継がれている模様はありますが、独創的なデザインを刻むのもアリで、クリスマスに楽しいひと時を提供してくれる一品です。
10. タラの塩漬け サルトフィスクル Saltfiskur
(Photo credit: Vísir hf)
タラを塩の中にどっぷりと漬けたもの。食べる前に、数時間から数日間水に浸けて塩抜きします。塩抜きに費やす時間は、魚の大きさや水を取り換える回数、そして好みの塩加減によって調整されます。最近では塩抜きをしなくても良い「タラのちょい漬け」が流行っています。風味は全く同じではありませんが、お手軽さが人気です。
伝統的には、茹でた塩漬けタラにジャガイモを添えて、ライ麦パンと共に食卓に並べます。最近ではスペイン風やイタリア風にアレンジして、トマトやオリーブなどと一緒に料理するのが流行っています。
タラの塩漬けはアイスランドの主な輸出品目の一つで、ポルトガルやギリシャ、スペインへ輸出されています。
11. 肉パテ キャイヴァ Kæfa
子供にも大人気のマトン肉のパテは、パンに塗ってどうぞ。スーパーマーケットのパテコーナーには、色々な種類のパテが並んでいます。あなたのお気に入りの一品を見つけてみましょう!こちらも少しくせがありますが、どちらかといえば万人受けする美味しいほうの部類に入るでしょう。
12. クジラ Hvalkjöt
(Photo credit: Rúv)
アイスランドで消費される唯一のクジラは、絶滅の危機に瀕していないミンククジラです。鯨肉は生でも食べられ、火を通し過ぎないレアが美味しいお肉です。赤肉で牛肉より柔らかく脂肪が少ないので、例えるなら「牛肉とマグロの中間」です。お刺身にして醤油とワサビで頂くと絶品!レアのステーキにしても最高です。
13. タラの舌 ゲルル Gellur
(Photo credit: Mbl)
”タラの舌”の正体は、タラの舌の後部にある厚い筋肉です。写真のようにグラタンなどにすると美味しいのですが、アイスランドの伝統では茹でるだけ。ハッキリ言って微妙な味です。
現在はあまり見かけなくなりましたが、昔は家庭でよく食べられていました。茹でるだけだと白くてゼリー状になるので、子供の頃の私は「スライムっぽくて気持ち悪い。。。」と思っていました。しかし、最近のレストランで出されるものはどれも美味しく調理されているので、ぜひお試しあれ!
14. クジラの脂身 クヴァルスピック Hvalspik
クジラの脂身を茹でて乳酸で保存処理したもの。脂肪そのもの!という感じの食べ物です。昔はご馳走でしたが、今日では見かけなくなりました。
15. 魚の詰め物 クットマーガル Kútmagar
魚の胃の部分に魚のレバーを詰めて茹でたもので、ライ麦と茹でることもあるよう。実は私自身、この記事を書くまで存在を知らなかった料理です。お世辞にも「美味しそう!」とは思えない料理なので、廃れていってしまったのでしょうか、幻の料理です。
16. 魚団子 フィスキボルル Fiskibollur
魚団子は、じゃがいもと玉ねぎを魚に混ぜてつくね状にしたものです。皆さんが想像する味から大幅にずれることはない、ハズレ無しの一品。スーパーマーケットでは缶詰や真空パックに入った出来合いのものが、お手頃価格で手に入ります。でもやっぱり家庭やレストランの作りたてが一番です!今でも子供たちに大人気のアイスランドのメニューです。
17. パフィン料理 ルンディ Lundi
(Photo credit: The cooking frog blog)
パフィンはミルクソースで茹でたものやスモークされたものを頂きます。スモークパフィンは国中のレストランのメニューに載っていると言っても過言ではなく、誰もが頷く美味しさです。国内最大のパフィンのコロニーがあるウェストマン諸島では、パフィンのご当地グルメが楽しめます。
可愛らしい姿のパフィンは鶏よりもはるかに小さく、実は一皿に数羽分のお肉がのっていることもあるんですよ。感謝を忘れず食べましょう。
18. 羊肉のスープ キョットスーパ Kjötsúpa
(写真: Life of Lekker)
アイスランド伝統のアツアツでとっても美味しい羊肉のスープ。コンソメスープに似たクリアなスープの中には、ラム肉、ジャガイモ、人参、玉ねぎ、そしてカブがごろごろ入ってボリュームたっぷりです。寒い日の温かいスープは万国共通で文句無しに美味しい一品です!
19. フィッシュスープ フィスキス―パ Fiskisúpa
アイスランドが誇るフィッシュスープは母の味。家庭によって味が全然違いますが、ほとんどは生クリームを多く使ったものです。私が作るスープは母直伝で、ブルーチーズとカレースパイスをたくさん使ったこってり味です。
新鮮なシーフードが獲れるアイスランドに来て、フィッシュスープを食べないなんて言語道断!美味しいスープを出すレストランをチェックしてから街へ出ましょう。
20. スキール Skyr
(写真 Skyr Iceland)
国内外を問わず大人気のスキール!これをなくしてアイスランド料理を制覇したとは言えません。
スキールは低脂肪の乳製品で、ヨーグルトを濃厚にしてクリーミーになったような食べ物です。アイスランド人の冷蔵庫には必ず入っていると言っても過言ではないほど人気の常備食品。スキールのパッケージにはスプーンもついていて、そのまま食べられますし、色々なデザートの材料としても使えます。ヨーグルトのようですが、ヨーグルトを遥かに上回る人気があります。近年スキールは海外進出し、北欧諸国やアメリカでも手に入るようになりましたが、日本にはまだありません。
おまけ ラックリス Lakkris
そして近代のアイスランド国民食と言えばリコリスのお菓子です。カラフルなガムやグミのような見た目で、大人も子供も大好きなお菓子です。スカンジナビア一帯はリコリスが人気ですが、アイスランド人はアイスランドのリコリスが一番だと思っています。日本人の味覚には合わない場合が多いようで、「薬の味がするゴムを食べているような感覚」だと例える人も。チョコレートバーに入っている黒いリコリスをレーズンと間違えたり、リコリス味の飴をコーラ味と間違えて買ってしまうのも、アイスランド旅行者の「あるある」です。
いかがでしたか?知らずに頼んだメニューが驚きの料理だったなんていうのも旅の思い出のひとつでしょう。アイスランドでしか食べられない伝統料理、ぜひ食べてみてくださいね!
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