アイスランドのマスコット的存在 パフィン

アイスランドは日本と同じ火山の国ですが、その誕生は日本に比べるとかなり最近のこと。アイスランドの多くの場所は、溶岩がむき出しのままの痩せた土地です。また厳しい極地の気候のせいもあり、動植物の生存にはとても厳しい島国なんです。

そんな中でも、北極キツネはたくましく育ってきたアイスランドの陸にいる唯一の哺乳動物です。海にはクジラや渡り鳥が豊富な餌を求め生活していました。

やがてヴァイキングの定住とともに、多くの家畜がアイスランドへ移住、そしてアイスランドの厳しくユニークな気候に適応しながら独自の進化を歩んできました。

 
目次
           1.1 -
           1.2 -
           1.3 -
           1.4 -
           1.5 -
           2.1 - トナカイ
           2.2 - ネズミとウサギ
           3.1 -キツネ
           3.2 - クジラ、イルカ
           3.3 - アザラシ
           3.4 - パフィン
           3.5 - そのほかの鳥類
          3.6 - ホッキョクグマ

アイスランドの家畜  

ヴェストラホルンの山を背景に乗馬をする人

大自然の広がるアイスランド。野生動物も多くいるのかと思いきや、アイスランドを旅している時に見かける動物はほとんど家畜です。家畜と聞くと、あまり魅力的な動物に感じないかもしれませんが、人々が生活する上で、アイスランドの気候に順応した家畜の存在は必要不可欠です。昔から農業よりは酪農を中心としてきたアイスランドでは、家畜たちは衣食住のすべてを支える存在だったのです。

アイスランドの羊 The Icelandic Sheep  

春に生まれた仔羊

羊は何世紀にもわたって、アイスランド人の生活を支えてきました。ノルウェーからの最初の植民者によって羊は持ち込まれ、アイスランドの過酷な環境下での生活に欠かせない食料となり、また毛皮はウールとして衣類の主原料となりました。

ノーベル文学賞を受賞したハルドル・ラクスネスの小説「独立の民」を読むと、アイスランド人が羊に対してどれほどの敬意を持っているかがわかります。

アイスランドの羊は農民にとても可愛がられており、その光景はアイスランドの映画「ラムズ(Rams)」で見事に描かれています。

アイスランドの歴史において、羊はアイスランド人の生活にとって欠かせないものでした。国の発展にも貢献しましたが、羊への損害は国全体への被害に直結しました。

例えば、1783年のラキ火山の噴火はアイスランドにとって致命的な出来事で、アイスランドの羊の80%が灰や火山ガスによって死亡、飢饉が発生しその影響でアイスランド人の25%が亡くなりました。

自由に歩き回る羊の親子

その一方、第一次世界大戦の時にアイスランドが工業化と発展を助けたのは羊でした。戦争によって荒廃したヨーロッパではアイスランド産ウールの需要が高く、この時にウール製品から得た利益は現代のアイスランドへと発展する足掛かりとなりました。

アイスランドには人口の2倍以上の80万匹の羊がいます。ウールはロパペイサ(Lopapeysa)と呼ばれるアイスランド特産のセーターなどに使用され、羊肉を使った伝統料理は数多くあります。ラムスープや、ラム肉のステーキのほかにも、スヴィーズという羊の頭の料理や、血を使ったソーセージなど、羊を無駄にしない独特のレシピもあります。

アイスランドの羊たちは観光中にもよく見かけるでしょう。ご覧の通り、広々とした大地に放牧され、自由に過ごしています。そしてアイスランドのタイムなどのハーブを食べているため、臭みがなく、日本で口にするような羊肉とは一味も二味も違うおいしさです。

日本でアイスランドのラムを食べること機会はなかなかありません。ちょっとお値段は高いですがぜひ食べてみてください!

アイスランド・シープドック The Icelandic Dog  

Árni Einarsson撮影のアイスランドシープドック

たくさんの羊がいるということは、もちろん牧羊犬もいます。

アイスランドシープドックと呼ばれるこの犬も、他の家畜のように何百年も前にスカンジナビアからの移住者によって持ち込まれました。それ以来、牧羊犬は農民の支えとなり、家畜の群れの誘導や見張りという役割を果たしてきました。

この犬はアイスランドという孤立した島国で交配を続けたため、外来の病気に感染しやすく、19世紀後半には絶滅の危機にいたりました。それ以降、他の犬種の輸入が禁止され、今でもペットの輸入には大きな制限があります。ペットワクチンや現代の獣医学の発達により絶滅から回復し、今ではアイスランドを代表する動物として人気を博しています。

デイルダルトゥングクヴェルで放し飼いになっていた犬

アイスランドシープドックは柴犬より少し大きいくらいのサイズで、尻尾はカールしています。耳がピンと立っていて、アイスランドの寒さに耐えられるようフカフカの毛皮で覆われています。性格もエネルギッシュ、はつらつとしています。フレンドリーですが縄張り意識も強く、田舎の農場を毎日パトロールしています。

アイスランドでは、犬は田舎で走り回るもの、という意識が強く、レイキャビク市では犬を飼うことが禁止だった時代もあるんですよ。知っていましたか?

アイスランドの猫 

アクセサリーショップ、アウルムの前にいた猫

犬がいればもちろん猫も。レイキャビクの町を歩いていると、放し飼いの猫を見かけることがあると思います。カラフルなレイキャビクのダウンタウンを自由に歩いたり、軒先でゴロゴロしている姿はとてもかわくて、思わずカメラを手にとってしまうほど。

アイスランドシープドックのような特別な系統の猫はいませんが、どの猫もフワフワの毛皮で貫禄のある姿です。そのわりにはフレンドリーで、手を伸ばすと撫でて~と寄ってくる猫もいますよ。

ただ野鳥の生態系を乱す動物として、猫の放し飼いには批判的な声もあります。フレンドリーな猫はレイキャビクの人気者でもありますが、国内では様々な意見が飛び交っています。

アイスランディック・ホース The Icelandic Horse  

こちらも、アイスランドの田舎で良く見かける動物です。体高は低めで150㎝ほど。他種の馬よりもフレンドリー、好奇心旺盛で賢いところが特徴です。

アイスランド人の愛するこの馬の性格は、その歴史に由来します。かつてヴァイキングや初期の入植者がアイスランドへと渡ってきたとき、その人々は船を出せるほどの裕福な者だったといいます。各ボートには一頭の馬しか収容できなかったため、良質の馬が選別されて持ち込まれました。つまり、アイスランドの馬は最も丈夫で賢い馬たちの末裔なのです。

厳しい冬にも耐えられるアイスランドの馬たち

元々、馬は移動手段として存在し、時には部族間の争いに使われることもありました。馬を所有していた人々はより広範囲を移動できるため交易をして、より裕福になる可能性がありました。馬がない人々は孤立し、貧しい生活を続けなければならない可能性がありました。

そして、移動手段としてだけでなく、農業においてもアイスランドの馬たちは重要な位置を確立していきました。
また、乗馬が普及するにつれて、アイスランドの馬の特徴である歩き方が注目されました。ほとんどの馬種は3種類か4種類の歩き方(速足や襲歩など)ができますが、アイスランドの馬は5種類の歩き方ができます。そのユニークな歩法「スケイズ(skeið)」はアイスランドのでこぼこした地形に合わせて発展されたスタイルであり、比較的スムーズな乗り心地と急加速を可能とする点が特徴的です。



草原でくつろぐアイスランドの馬

アイスランドの馬は、性格、外見とユニークな性質のため、馬術大会やショーにおいてとても人気があります。現在、アイスランドの馬は国内より海外に多く、海外に10万頭、国内に8万頭います。

アイスランドの馬は外来の病気に感染しやすく、感染によるダメージは計り知れません。そのためアイスランドから輸出された馬は再びアイスランドへ戻ることはできません。また他の品種の輸入も禁止されています。

アイスランドを訪れたら、是非乗馬を体験してみてください。

フレンドリーな馬たちの背から見る景色は、また格別ですよ!



アイスランドの牛たち  

放牧される牛

アイスランドの牛も特別な品種で、馬と同様、初期の移住者がノルウェーから持ち込みました。ヨーロッパの品種よりも小柄で外来の病気に感染しやすいという特徴があります。

アイスランドの馬と違うのは、アイスランドの牛は他の品種に比べて特別有利に扱ってもらっていないということでしょう。

アイスランドの牛 Wikimedia, Creative Commons, 写真Christian Bickel

アイスランド農業大学は、原産の牛よりもスウェーデンの牛の方が低コストでより多くの牛乳を生産できることを最近の研究で発表し、切り替えた方が経済的に有益であると発表しました。

牛乳、スキールなどの乳製品、そして牛肉と、市場に広く流通し経済的価値も高い牛ですが、アイスランド人はこの案に抵抗を示しています。

アイスランドの牛たちは、千年物間、アイスランドの国の文化にとって欠かせない乳製品を生産してきました。チーズやスキールをはじめとするアイスランドの伝統食は、牛がいなければ存在しなかったもの。この為、多くの人は今まで育ててきた大切な牛を手放すことなど考えないでしょう。

外来種の野生動物  

ヴァイキングたちが最初にアイスランドに移住した時、その陸にいた哺乳動物は北極キツネのみ。今は複数の外来種の動物が野生化しアイスランドの大地を駆け回っています。

トナカイ  

アイスランド東部のトナカイ 写真Þorvarður Árnason

トナカイは、他の家畜よりずっと後の18世紀にアイスランドに持ち込まれました。当初はスカンジナビアのようにトナカイを飼育するはずでしたが、アイスランド人は何故か飼育を放棄。その結果、トナカイは野生化しました。

現在、アイスランドには約3000頭のトナカイが国の東部に集中して生息しています。トナカイはスナイフェル(Snæfell)で最もよく見かけられ、夏の間は高地に、冬の間は暖かい低地にいます。より南のヨークルスアゥルロゥン氷河湖やより北のヴォプナフィヨルズル(Vopnafjörður)でも観察されています。東アイスランドを訪れた時は、トナカイの群れに出会えるかもしれませんね。

トナカイはアイスランド全土で愛されていますが、羊の牧草地に現れると食料を奪う可能性がある為、定期的にその数が管理されています。厳しい冬や大規模な火山噴火があった場合、その土地が両方の動物を支えることは難しく、トナカイが経済的に大きな損害をもたらす可能性があります。

野生化したトナカイは秋になると狩りの対象となります。プロのハンターによって仕留められたトナカイは、クリスマスディナーのテーブルに並ぶこともあります。

げっ歯類  

有害な外来種であるミンク Photo Credit: Wikimedia, Creative Commons, 写真 Pdreijnders

歴史の中で人間が新しい土地を発見して入植する時、げっ歯類も人間について新しい土地へと移動します。アイスランドの場合も同様でドブネズミ、モリアカネズミやハツカネズミがいます。ドブネズミは主に人口が多い地域に生息し、そのほかのネズミは全国に広がっています。

アイスランドには野生化したミンクも生息しています。20世紀初めに毛皮を目的に輸入されましたが、そこから逃げて野生化しました。現在、ミンクはレイキャビク周辺の水路で魚を捕まえたり、鳥の卵を狙ったり、全国の酪農家の悩みの種になっています。

繁殖力の強いウサギ. Wikimedia, Creative Commons,写真 J J Harrison

近年野生化した動物ではウサギがいます。

そのほとんどは2010年にペットとして販売されたウサギの子孫です。現在は全国に広がり、色んな所でいたずらをしています。

例えば、ペルトラン周辺にある森では、地面に巣穴を掘り、木の根や塀をかじり植生に被害を与えています。また、農場では羊などのために作られた干し草を食べたてしまうことも。レイキャビク市内など交通量の多い場所にも生息し、車との接触事故も起きています。

アイスランドという厳しい気候にも関わらず、見事に適応し繁栄しているウサギたち。今は駆除の対象ではありませんが、今後どうなっていくのでしょうか。

アイスランド在来の野生生物  

魚を追うザトウクジラ写真:Akureyri Whale Watching

4本足の動物だけみると、あまり種類は多くない、アイスランド原産の野生動物。しかし空や海に目を向ければ、そこには豊かな生態系が広がっています。

北極キツネ  

アイスランドの北極キツネ

人間がアイスランドに来るまで、北極キツネはアイスランドに生息していた唯一の陸生哺乳動物でした。最終氷河期、北極キツネは凍った海を伝ってアイスランドに辿り着きました。やがて氷が解け、北極キツネは止むを得ず島での生活を始めました。順応性に優れた雑食性の動物で、卵、鳥、昆虫、果実を食べて生活しています。

人間が移住してからは、毛皮の為と家畜を守る為に北極キツネは狩猟の対象となりました。やがて、ミンクのような毛皮動物の飼育場の発展と共に、毛皮のための狩猟されなくなりましたが、酪農家は依然として、その数を抑えることは経済にとって必要だと主張しています。

人間が移住してから北極キツネは狩猟の対象となった一方、人間のもたらしたネズミや残飯、仔羊といった食料が増えたことで、生存が可能となりました。

白い毛皮になった北極キツネ。写真: Wikimedia, Creative Commons, photo by Jonathen Pie

アイスランドの北極キツネには2種類あります。白キツネは、冬には体毛が真っ白で、夏には茶色と白になり、季節ごとに体毛が完全に生え変わります。青キツネと呼ばれる個体の体毛は生え変わりませんが、夏の間は体毛が薄くなります。白キツネも青キツネも寒い冬には分厚い毛皮、暖かくなるにつれて、毛皮は薄くなります。

北極キツネはアイスランド全国で見かけられますが、特にウェストフィヨルドの最北端にあるホルンストランディル自然保護区(Hornstrandir Reserve)に集中しています。この地域の北極キツネは人間を恐れないことが注目され、野生動物の写真家には人気な場所です。

2007年に、スーザヴィーク(Súðavík)村にアークティック・フォックス・センター(Arctic Fox Centre)ができました。この施設において北極キツネの研究が進められ、人々に様々な情報を提供し、エコツーリズムを促進しています。

アイスランドのクジラ  

アイスランドには20種以上のクジラやイルカが生息している

アイスランドの海には20種類以上のクジラとイルカが生息しています。特に夏の間はホエールウォッチングが人気です。ホエールウォッチング産業の繁栄によって、アイスランド人のクジラに対する価値観は変化しています。

昔のアイスランドの人々や船乗りは、クジラを恐ろしい怪物として描いています。ある有名な物語では、魔法使いがクジラに変身し、アイスランドの侵略を試みました。しかし、見事にアイスランドの4体の守護者に追い返されます。



フーサヴィークのザトウクジラ写真: Húsavík Traditional Whale Watching

アイスランドの民話にも登場し、恐れられているクジラでも、海岸に打ち上げられた時には人々は喜びました。一頭のクジラからとれる肉は地域の人々の胃袋を満たし、クジラ油は暗い冬に必要なろうそくや明かりに使用されました。

アイスランドは19世紀より商業捕鯨を開始し、周辺各国からの否定的な意見にも負けず捕鯨を続けてきました。しかし、近年では株価、国際的な圧力や国内からの反対意見なども大きくなり、商業捕鯨は見直されています。

現在も捕鯨は続いていますが、将来的な継続については国内で絶えず議論されています。これからますます注目を浴びるのはホエールウォッチングであり、捕鯨ではない、という声も大きくなっています。多様なクジラの豊かな生活を観察できるアイスランド全国のホエールウォッチングツアーはアイスランドの観光産業の発展にも貢献しています。

アイスランドのアザラシ  

ヨークルスアゥルロゥン氷河湖のアザラシ。写真: Stephen AU

アザラシは何千年も前からアイスランドの海岸で生活してきました。冷たくて豊な海と、岩でできた無人の広い海岸は、アザラシにとって理想の場所です。人間がアイスランドに足を踏み入れる前から、アイスランドを謳歌していたアザラシたちですが、入植者が到着してからは、アザラシは狩猟の対象となりました。人々の食糧、衣服や燃料という様々な必要不可欠な資源となり、アイスランド人の生活を支えてきました。20世紀に乱獲により減少しましたが、現在その数は安定しています。

昼寝をするアザラシ。写真: Silverstylus

アイスランドでは現在でもアザラシは狩猟の対象です。アザラシによる漁具の損害を防ぐ為、そして時には毛皮の為に捕獲されます。しかしそれも動物愛護の観点から、疑問視されるようになってきました。クヴァンムスタンギ(Hvammstangi)にはアザラシセンター(Icelandic Seal Centre)が開設され、アザラシの研究や周囲への情報提供を行っています。

アイスランドの海岸には、ゼニガタアザラシとハイイロアザラシの2種類が常時生息しています。確実に観察できるおすすめの場所はウエストフィヨルド、ヴァトネス半島(Vatnsnes Peninsular)、スナイフェルスネス半島とヨークルスアゥルロゥン氷河湖です。

タテゴトアザラシ、アゴヒゲアザラシ、ズキンアザラシ、ワモンアザラシなどの他の種もアイスランドを訪れることがあります。ウエストフィヨルドにはセイウチが訪れることも。以前、セイウチはアイスランドに沢山いましたが17世紀に乱獲により絶滅しました。

パフィン  

小さな鳥パフィン

世界中では稀なパフィンですが、アイスランドには非常に多く存在する鳥です。渡り鳥であるパフィンは、4月から5月に飛来し、8月までは多くの地域で観察できます。

全世界のパフィンの約60パーセントがアイスランドの沿岸部の崖で繁殖し、群れで生息します。

レイキャビクのオールドハーバーの港からルンドエイやアークレイの2つの島に向かう1時間ツアーに参加すると、何千羽というパフィンが観察できます。特別にデザインされたボートを使用するので、岩の多い海岸でも充分に近づけます。ツアーで支給される双眼鏡を使えば、かなり鮮明に野鳥を見ることができます。多くのホエールウォッチングツアーにパフィンの観察も含まれています。

パフィンは生涯を通じて同じペアで過ごす

夏にウエストフィヨルドを訪れる方は、船に乗らなくてもパフィンを見ることができます。ラゥトラビャルグの崖(Látrabjarg)は、高さ440mで長さ14㎞あり、多くの鳥の生活が観察できる場所です。

この崖に沿って歩くと、パフィンを触れるくらいの距離まで近づけます。パフィンは人間を恐れることはせず、誰かが触ろうとしたら、飛んでいくくらいです。ここまで近づけば、美しいくちばしのディテールや愛らしい表情がはっきりと観察できますね。

また、ヴェストマン諸島の周辺や、南海岸のディルホゥラエイ(Dýholaey)、東アイスランドや北のグリムセイ島(Grímsey)にも多く生息しています。

こんなアイスランドのマスコット的存在のパフィンですが、アイスランドでは食料として重宝されてきました。今でもパフィンの料理はレストランで食べることができます。

そのほかの鳥  

カラスはアイスランドでは特別な存在。写真 Wikimedia, Creative Commons, photo credit: David Hofmann

アイスランドで一番人気のある鳥はパフィンですが、他にも多くの鳥が存在します。ウミガラス、フルマカモメ、カモメ、ウミスズメ、シギやユリカモメなどが、ウエストフィヨルドのラゥトラビャルグや、レイキャネス半島のクリスヴィークルビャルグ( Krýsuvíkurbjarg)に生息しています。

海岸周辺には、キョクアジサシやウミワシもいます。また、ミーヴァトン湖には14種のアヒルを始め、ガチョウやオオハクチョウが生息しています。さらに、シロハヤブサ、ヨーロッパムナグロ、シギやライチョウもアイスランドを住処としています。

最後に、アイスランドの鳥と言えばワタリガラスです。もちろん世界中に存在する鳥で特別期待する鳥ではありません。しかし、アイスランドではその知性を尊び、神話や信仰の中でも特別な存在です。アイスランド語ではHrafnといい、男性の名前にもなっています。

ホッキョクグマ  

ホッキョクグマはグリーンランドから漂流してくることがある

意外かもしれませんが、アイスランドにホッキョクグマはいません。稀にグリーンランドから流氷に乗って来て、アイスランドのウエストフィヨルドに上陸することがあります。

しかし残念ながら、ホッキョクグマはアイスランドに到着した時点で飢えている可能性が高く、人間を襲う可能性もあります。その地域の住民の安全を脅かす存在です。また、仮にホッキョクグマを捕獲し、ケアをしたうで、元の生息地に連れ戻すとすると、75000ユーロもの費用がかかると想定されています。(2017年9月のレートで約980万円)

この非現実的な費用と住民の安全のため、ホッキョクグマはアイスランドで発見されると駆除されるのです。

アイスランドで最後にホッキョクグマが発見されたのは2016年7月です。気候の変化に伴い氷が溶け、今後より多くの北極熊がアイスランドに上陸することが予想されています。

フサフサの毛皮がかわいいアイスランドの馬

陸上には北極キツネしかいなかったアイスランドの島は、この千年の間に大きく変わりました。

今はアイスランドのどこを旅しても、厳しい気候に適応しのびのびと暮らす動物たちが見られます。

動物の種類や数では他国に遠く及ばないアイスランドですが、そこに生きる動物たちにはそれぞれのストーリーがあり、また周囲のアイスランド人たちとも深い関係があります。産業や生活の変化で動物たちの立場も大きく変化してきましたが、これからもアイスランドを形作る一役を担っていくことでしょう。