ディンヤンディの滝

アイスランドの左上に突き出た、くねくねとした半島。扇型のような、手の形をしたような不思議なエリアは、ウェストフィヨルドというアイスランドでも最も人のいないエリアのひとつです。

このエリアは、観光で訪れる人も比較的少なく、日本ではあまり話題となる場所ではありません。そのためか名称も統一されておらず、西フィヨルド、西部フィヨルド、ウェストフィヨルドなど様々な呼ばれ方をしています。

ウェストフィヨルドは国道1号線から外れており、レンタカーで行くのもちょっと大変で時間が要ります。何しろフィヨルドや山を越えて移動できる横断する道がないので、一度入り込んでしまったらひたすらフィヨルド沿いにくねくねと運転するしかないのです。

海と空、そして山々が織りなす美しい景色を見ながらの2日間、または3日間のドライブとなります。

美しい場所が多くあるウェストフィヨルドですが、このようなアクセスの難しさのため、実際訪れる人はアイスランドの他のエリアに比べ少ない場所です。また、人口の少なさから道路は主要な道であっても未舗装のこともあります。ウェストフィヨルド行きのバスやツアーはほとんどないので、レンタカーが必要です。

ウェストフィヨルドの小さな町々

イーサフィヨルズゥル(Ísafjörður)はウェストフィヨルドの中心の町です。人口訳2600人の小さな港町ですが、湾の両側には切り立った山がそびえたち、迫力のある景色を眺めることができます。

イーサフィヨルズル

毎年春に、イーサフィヨルズゥルではアルドレイ・フォル・イェグ・スーズル(Aldrei fór ég suður)という音楽フェスが開催されます。ムーギソン(Mugison)をはじめ、アイスランドのバンドが勢ぞろいします。冬は日照時間がアイスランドで一番少なく、夏は太陽が何週間も沈まない町。大自然に囲まれた素朴な街並みに、虜になる人も少なくありません。

イーサフィヨルズルの先にあるボルンガルヴィーク(Bolungarvík)。ちょうど道の突き当りに位置する小さな村で、以前は雪崩などの危険があった海岸線の道しかありませんでした。現在はイーサフィヨルズルからのトンネルが開通したため、安全に移動できるようになりました。フィヨルドという険しい地形のため、ウェストフィヨルドは雪崩が起きることもあります。

ウェストフィヨルドの付け根にあるホルマヴィークは、面白い町です。ここには魔術博物館があり、アイスランドと魔女や魔術師の関係についての展示があります。実はアイスランドも魔女狩りとは無縁ではなかったのですが、アイスランドで糾弾されたのは主に男性だったそうです。不思議なマーク入りのお土産もあります。

魔術博物館のカフェにて

そのほかに、漁村のスーズルエイリ(Suðureyri)、フラトエイリ(Flateyri)、シンクエイリ(Þingeyri)があります。家とボートが多少あるくらいの小さな村ですが、穏やかな景色は魅力的です。

パトレクスフィヨルズゥル(Patreksfjörður)とビールドゥダールル(Bíldudalur)もそれほど大きくない漁村です。頬を刺すような冷たい風の中にも、海の香が漂います。海とともに生きるウェストフィヨルドの人々の生活を垣間見ることのできる村々です。

車ではアクセスできない、北極キツネの住処

ウェストフィヨルドの最北端にホルンストランディル自然保護区( Hornstrandir Nature Reserve)があります。イーサフィヨルズゥルからフェリーで行くことができますが、道路はなく、フェリー以外では何日もハイキングをするしか方法はありません。以前は農民や漁師が住んでいましたが、近隣の町へ移り住む人は後を絶たず、20世紀初頭に最後の住民が立ち去ると動植物のパラダイスとなりました。1975年に自然保護区が設立され、今ではハイキングやキャンプを楽しむ人々の人気の場所となっています。

このエリアは、北極キツネの住処となっており、アイスランドの珍しい野生動物に出会える場所です。北極キツネはヴァイキングが定住する以前からアイスランドにいた、唯一の陸上の哺乳動物です。夏は灰色の毛皮ですが、冬には真っ白な毛皮に生え変わります。

フェリーでの旅

ウェストフィヨルドは多くのフェリーが運航しています。フィヨルドを移動するのには、やはり船が最適なのです。イーサフィヨルズルから出発するフェリーも多くありますが、海の向かいにあるスナイフェルスネス半島へと向かうフェリーもあります。このフェリーは車も乗せられるので便利です。

ウェストフィヨルド、ブリャウンスライクル(Brjánslækur)からフェリー バルドゥル号に乗って出発。3時間ほどの船旅は旅の素敵な思い出になるはずです。

絶景スポットの数々

ラゥトラビャルグとディンヤンディ滝はウェストフィヨルドで最も人気がある自然景観です。またフィヨルドの南西端にある美しいロイジサンドゥルという赤い砂のビーチも訪れてみる価値があります。

ラゥトラビャルグ

多くの野鳥が住むラゥトラビャルグ

ラゥトラビヤルグ(Látrabjarg)はパフィンなどの野鳥が多く生息している岬です。アイスランドの最西端でもあり切り立つ崖の高さは400m以上もあります。ただ、ラゥトラビヤルグまでは長い砂利道が続いており、事前に給油をするなど注意が必要です。

ディンヤンディの滝

ディンヤンディの滝ディンヤンディ(Dynjandi)の滝は、ウェストフィヨルドを代表する大きな滝です。山肌を流れ落ちる様子は見ごたえがあります。アクセスは難しくありませんので、レンタカーで旅行の際にはぜひ訪れてみましょう。

ロイジサンドゥル

ロイジサンドゥルの海岸

写真:Regina

ウェストフィヨルドの南側にあるロイジサンドゥル(Rauðisandur)の砂浜は、他のビーチとは随分違い、赤褐色の砂浜が広がっています。南海岸にあるレイニスフィヤラのブラックサンドビーチのように、アイスランドの多くの砂浜は黒い砂で覆われています。

ロイジサンドゥルは未舗装の状態の悪い道を進む必要があるので、ある程度のスペックの車で行くのが良いでしょう。Reginaのブログも参考に注意して訪れてください。

ウェストフィヨルドは、アイスランドの中でも特にアクセスが難しい場所です。時間もかかりますし、それなりの準備と計画が必要です。それでも、ウェストフィヨルドならではの、他では見られない魅力がたくさんつまったエリアです。