氷河を120%楽しむ!アイスランドの氷河でできるアクティビティ

氷河を120%楽しむ!アイスランドの氷河でできるアクティビティ

Kuna Yoon
執筆者: Kuna Yoon
認証済みスペシャリスト

 

アイスランドの自然の特徴でもある氷河。実は眺めるだけでなく、実際に歩いたりすることができるんです!

氷河といっても、実はその姿は多様です。大きな割れ目が続きギザギザとした氷河もあれば、ほとんど平らな雪原のような氷河もあります。また、雪のように白い氷河もあれば、氷の洞窟に見られるように美しい青色であったり、火山灰を含むために黒い氷河もあるんです。

Parts of the glaciers are only accessible in monster trucks, such as these.

そんな表情豊かな氷河を楽しむ一番のおすすめは、何といっても氷河ハイキング。アイスランドにはいくつもの氷河がありますが、幹線道路からのアクセスが良い南海岸沿いでの氷河ハイキングが人気です。

そもそも氷河とは? 

白と青のコントラストが美しい氷河写真: Glacier hiking & ice climbing tour from Reykjavík

氷河とは単純に言えば、一年中解けることのない氷の塊です。ということは、万年雪と何が違うのか、という疑問が湧いてきます。

氷河は万年雪より長いサイクルで成長や後退を繰り返し、尚且つ氷河は自身の重みで少しづつ低いほうへと押し出されているという特徴があります。一年中凍っている、というだけでは氷河にはならないのです。

万年雪など、解けなかった雪が残ると、雪はその重みで圧縮され氷となります。そしてその氷に新たな雪が降り積もり、また重みで圧縮され氷となる…この繰り返しで少しづつ氷河が形成されていきます。

目には見えない動きも氷河のダイナミックな風景を作り出す写真 Heli-glacier hike day tour from Reykjavík

雪が圧縮される過程で、空気などは氷から押し出されていきます。そのため、圧縮され氷河の氷は空気の保有量が少なく、青く透き通った氷となります。逃げ切れずに氷の中に閉じ込められた気泡は氷河が形成された何百年も昔にできたものであり、その時代を今に伝えるタイムカプセルでもあります。そして皆さんもご存知の氷の洞窟。この美しい青い色は、長い時間を経て初めてできるものなのです。

透き通る氷が美しい、アイスケーブ

また、アイスランドでは火山活動も活発なことから氷河の上に降灰することもあります。降灰の後に雪が降り、そのまま氷河となると、灰の層は氷河の中に閉じ込められます。何重にもなった黒い筋は過去に起こった火山活動を物語る貴重な役割を果たしています。

ガイドについて歩く氷河ハイキング写真 2 day tour to Jökulsárlón with glacier hike, boat tour & South Coast waterfalls

氷河にはクレバスといった大きな割れ目や、ムーランという縦穴もあり、決して単一的な景色ではありません。大きな割れ目はのぞき込んでも底が見えないほどですし、ムーランはまさに氷河の迷路への入り口です。

何世紀もの歴史がつまった氷河写真: Snaefellsjökull glacier hiking tour

このように、多様な形を作り出す氷河ですが、気温が高い夏には少しづつ解けていきます。近年の気温上昇により、夏に氷河の解ける量が冬の積雪量を超えてしまい、氷河の大きさは小さくなっています。アイスランドの氷河も例外なく後退しており、氷河ハイキングに参加すると、その様子を間近で見ることができます。

アイスランドを始め、氷河の形成や交代を記録したドキュメンタリー映画、「Chasing Ice」では、氷河ハイキングで人気のソゥルヘイマヨークトル氷河が登場します。アイスランドに訪れる前に、ぜひお勧めしたい作品です。

解けた氷河の水は、やがて氷河の端に溜まりラグーンを形成することがあります。この代表的な例がヨークルスアゥルロゥン氷河湖です。ヨークルスアゥルロゥン氷河湖は昔からあったものではなく、解ける水の量が多くなった20世紀にできたものなのです。

氷と灰が層になった氷河と、融解によって形成されたラグーンPhoto Credit: Wikimedia, Creative Commons, photo by David Elliott

このように氷河といってもその姿は様々。だからこそ、実際に歩いたり、スノーモービルで訪れてみたりするのがお勧めなんです!

イチオシ!氷河ハイキング 

晴天のもとの氷河ハイキング写真: Glacier walk on Vatnajökull - away from the crowd

一番手軽に参加できるのが氷河ハイキング。アイゼンなど初めて目にする装備品の数々ですが、一度装着してしまえばガイドさんの後に続いて歩くだけ。決して難しいアクティビティではありません。また、ソゥルヘイマヨークトル氷河でのツアーなら、レイキャビクからのバス送迎付きや、南海岸の観光とセットになったツアーがあるので訪れるのも簡単です。もちろんレンタカーでも、氷河の麓まで運転できます。

準備万端で氷河へ写真 2 day tour to Jökulsárlón with glacier hike, boat tour & South Coast waterfalls

雪に隠れたクレバスなど危険もある氷河ですが、プロのガイドさんが案内しますので安心です。体力があり健康で歩くことができれば大丈夫。ツアーにもよりますが8歳程度のお子様から参加できます。ただし、決してガイドさんに注意されるような危険な行動はしないように。

体調が優れなかったり、不安があるときはすぐにガイドさんに伝えましょう。

氷河にできた小さなトンネル写真: 現地発・スカフタフェットル氷河ハイキングツアー

氷河ハイキングで必要な装備品はツアーに含まれています。

  • アイゼン/クランポン: ハイキングブーツに装着する、爪のついた道具で氷の上を滑らずに歩くことができます。アイスクライミングの際にも使用します。足首まで固定するので必ずハイカットのブーツを用意。氷の洞窟へのツアーでは、簡単に装着できる軽アイゼンを利用することもあります。付け方はコツが要りますのでガイドさんの説明をよく聞きましょう。

  • ピッケル: 英;アイスアックス。急な斜面での歩行で使います。氷河ハイキングでは出番はあまりありませんが、アイスクライミングではこれを2つ使って氷の斜面を登ります。

  • ヘルメット: 安全のためにヘルメットを装着します。そのため、ニット帽はポンポンなど飾りがついていないものが必要です。

  • ハーネス: 装着にちょっとコツが要りますので、ガイドさんの説明をよく聞きましょう。アイスクライミングの際には安全のため、カラビナとロープをつけます。また、視界が悪くなるほどの悪天候の際には、グループの安全確保のために、ロープをつけることもあります。

氷河ではアイゼンが必須写真: Pixabay, photo by Csharker

上記のもの以外で必要なものは持参します。

  • ハイキングブーツ、無い場合は必ずレンタルをしましょう。

  • ニット帽(飾りのないもの)

  • セーターやフリースのインナー

  • 防水のアウター

  • 防水のパンツ

  • 手袋(濡れてしまう可能性があるので、寒い時期には2つあると便利)

  • サングラス(雪が眩しいので)

  • 飲み物

  • カメラ(一眼レフでも大丈夫ですが、手にはピッケルを持っての移動となります。)

氷河の上は風が強く、急に寒くなることもあります。一枚余分にセーターを準備したりと寒くないようにしましょう。また、夏の天気の良いときには、体を動かしたことで汗ばむことも。天気に気をつけながら服装や持ち物を準備してください。

心に残る思い出作り!アイスクライミング 

アイスクライミングは、氷壁をピッケルを使って登るというアクティビティです。氷河の上を歩いて、ガイドさんが安全だと確認したクレバスや氷壁まで来たら、ロープを装着。ガイドさんの説明に従って氷の壁を登って行きます。

アイスクライミングも経験は必要ありません。誰でも参加できますし、もし氷河を歩いている間に疲れてしまったら見学している、という選択肢もあります。氷壁を登るのは決して簡単ではなく、コツも要りますので全員が登り切れないこともあります。ガイドさんがスイスイと氷壁を登る様子からは想像できないほど、実は難しいアイスクライミング。あくまでも、チャレンジ精神を大事にして参加してみるのがいいですよ!

一般的にアイスクライミングというと、真冬に凍った滝や人口的に作った氷壁を登ることが多いですが、アイスランドなら一年中氷河がありますので、夏の天気のいい日でもアイスクライミングが楽しめます。アイスクライミングをするには氷河上を移動しますので、氷河ハイキングとセットになっていると考えてもいいでしょう。ちょっとお得に聞こえませんか?

アクティブなことが好きな人には、アイスクライミングがお勧めです。

どこでする?氷河ハイキング・アイスクライミング

ソゥルヘイマヨークトル氷河での氷河ハイキング写真: Sólheimajökull Glacier Expedition

ソゥルヘイマヨークトル氷河 Sólheimajökull

最もポピュラーなのは、ソゥルヘイマヨークトル氷河です。その理由はレイキャビクからアクセスが良く、たくさんの日帰りツアーがあるためでしょう。また、周辺にはセリャランズフォスの滝やスコゥガフォスの滝もあり、南海岸観光でのオプションとして人気があります。ツアーバスを利用するのはもちろんですが、レンタカーでも氷河の麓まで行けるので、とても便利な氷河です。

人気があるために、ツアー回数も多く、都合の良い時間に氷河ハイキングに参加することができます。

また、アイスクライミングも行われています。

雪、氷、灰の作り出す、マーブル模様が面白いソゥルヘイマヨークトル氷河写真: Sólheimajökull glacier expedition

スカフタフェットル Skaftafell

こちらもアイスランドの南部ですが、レイキャビクからは300㎞以上離れた、アイスランドの南東部にあります。そのためレイキャビクからの日帰りツアーはほとんどなく、主にレンタカーや周遊ツアーを利用している人に人気があります。

このエリアはヴァトナヨークトル氷河があり、スケールの大きな景観を楽しむことができます。夏にはスカフタフェットルでのハイキングやキャンプも人気があります。

ソゥルヘイマヨークトル氷河よりも人の数が少なく、静かに楽しめるのも魅力のひとつです。

近くにはヨークルスアゥルロゥン氷河湖があります。

アイスランド南東部のスカフタフェットルから見る、ヴァトナヨークトル氷河写真: Skaftafell glacier expedition

氷河ハイキングもアイスクライミングも、どちらも氷河を上から楽しむツアーですが、それ以外にも沢山の楽しみ方があります。特に次にご紹介する氷の洞窟は、冬のアイスランドを代表するアクティビティ。スノーモービルもエンジン好きでアドレナリン溢れる瞬間を求める人に大人気です。

冬の絶景 氷の洞窟/アイスケーブ 

冬の氷の洞窟

ヴァトナヨークトル氷河にある氷の洞窟は冬の間だけ見られる、貴重な氷河の姿です。何世紀もかけて作られた氷河の様子を内部から見ることのできる珍しい光景。その透き通った氷の色は、私たちに自然の力強さと脆さを語りかけているようです。他の氷河ツアーでは氷河の上、表面を見学しますが、このツアーでは氷河の下へと潜ります。

ツアーではアイゼン(もしくは軽アイゼン)とヘルメットが用意されますが、そのほかのジャケットやハイキングブーツは自分で用意しましょう。洞窟の場所は毎年異なりますので、ハイキングとなることもあれば、氷河の上を歩くこともあるかもしれません。その日最適な洞窟へご案内しますので、準備万端で参加しましょう。


氷の洞窟、アイスケーブへのツアーをチェック


夏にも楽しめる 氷河の洞窟 

南海岸にあるカトラ火山の近くにはミルダルスヨークトル氷河があり、氷河の洞窟もあります。カトラ火山の噴火の度に氷に灰が積もり、一風変わった氷河の洞窟ができました。灰と氷が入れ替わったユニークなこの氷河の洞窟はヴァトナヨークトル氷河の氷の洞窟と違い年間を通して見学ができます。レイキャビクから行くカトラ氷河の洞窟ツアーは5月まで催行されますが、現地集合のツアーは12月まで参加できます。


レイキャビクからの送迎が付くミルダルスヨークトル氷河の洞窟ツアー

現地で集合するミルダルスヨークトル氷河の氷がツアー


スピード感あふれる スノーモービル 

オーバーオールとヘルメットを装着し、スノーモービルツアーに出発From The Golden Circle, Monster Truck & Snowmobiling 

スノーモービルはアイスランドでは人気のあるスポーツです。氷河があるために、冬に限らず一年中楽しめます。一番人気があるのは、ラングヨークトル氷河でのスノーモービル。グトルフォスの滝から出発するので、レイキャビクからの日帰りツアーや、ゴールデンサークルとセットになったツアーもあります。

もちろん、レンタカーでグトルフォスの滝まで行き、ガイドさんと会うこともできます。

そのほかに、アイスランド南部のミルダルスヨークル氷河でもスノーモービルが楽しめます。こちらはレンタカーでの南海岸ドライブ中にお勧めです。

スノーモービルの魅力は何と言ってもハイスピードで風を切って走る爽快感。景色が同じに見える広大な氷河でもスノーモービルに乗れば次々と違う風景に出会えます。また、スノーモービルの出発地点は氷河上にあるので通常普通の車では行くことができません。そのためツアー開始前には巨大な改造車、スーパージープに乗って氷河上の出発地点まで移動することが普通です。移動時間はそれほど長くはありませんが、日本には無い巨大なジープに乗るのもアイスランドならではの経験です。


スノーモービルツアーをチェック


家族で楽しめる氷河トンネルツアー 

見ることのできなかった氷河の中の世界が楽しめるアイストンネルツアー

写真: レイキャビク発:アイストンネルツアー

数ある氷河ツアーの中でちょっと変わったツアーなのが、こちらの氷河トンネルツアー。ラングヨークトル氷河を人工的に掘ってトンネルを作りました。

地表部分は真っ白な雪ですが、トンネルの中に入ればそこは不思議な氷の世界。長年月を経て作られた氷河の姿を見ることができます。人工的な洞窟とは言っても、壁面の氷は透きとおっていて美しくおとぎ話のよう。いくつもある小部屋やチャペル、廊下など氷で作られた世界を楽しめます。また氷河ツアーの中では一番簡単に楽しめるツアーで、小さなお子様も参加できるので家族旅行にもピッタリ。一年中訪れることができるのも魅力です。レンタカーで現地集合もできますし、レイキャビクからの送迎付きツアーもあります。

アイスランドには多くの観光スポットがあり、なかなか時間も足りないところ。ひとつアクティビティを足すなら?そう聞かれたら一番にお勧めするのが氷河でのアクティビティです。ちょっとした冒険を楽しみに氷河へ出かけてみませんか?

絶景地でクルーズ! ヨークルスアゥルロゥン氷河湖のボートツアー 

Amphibious boats are just one of the options you have when choosing how to discover Iceland's glacial lagoons.写真: Jokulsarlon Amphibious Boat Tour.

氷河をもっと別の形で楽しむならこちらのボートツアーがお勧めです。アイスランド南東部にあるヨークルスアゥルロゥン氷河湖は、ヴァトナヨークトル氷河の一端が融解しラグーンとなったもの。そしてラグーンに接する部分の氷河は今でも少しづつ溶け出し、氷山や氷のかけらとなって湖へと流れていきます。

湖畔からの眺めも素晴らしいものですが、せっかくなら氷山の間をクルーズしてみては?水陸両用ボートなら気軽に参加できますし、ゾディアックボートなら氷山の近くまで行くことも可能です。

ヨークルスアゥルロゥン氷河湖行きのバスツアーであれば、ボートツアーが含まれていたりオプションで追加することもできます。またレンタカーなら国道1号線沿いなのでとっても気軽に参加できます。



神秘的!フィヤットルスアゥルロゥン氷河湖のボートツアー 

アイスランドの南海岸にあるフィヤットルスアゥルロゥン氷河湖はヨークルスアゥロゥン氷河湖の西南部にあります。ヨークルスアゥロゥン氷河湖よりはスケールが小さく、まだそれほど観光客に賑わっていません。人気アイスランドのロック・バンド KALEO が2016年に公開した「SAVE YOURSELF」のPVがここで撮影され、最近話題になっています。

アイスランドのリピーターの方、ヨークルスアゥロゥン氷河湖と違う雰囲気の氷河湖を楽しんでみたい方にはこのフィヤットルスアゥルロゥン氷河湖で催行されるボートツアーがお勧めです。


フィヤットルスアゥルロゥン氷河湖クルーズツアー(RIBボート)


様々な楽しみ方ができるアイスランドの氷河。せっかくなら遠くから見るだけでなく、実際に近くで見てさわって体験したいものですね!アイスランド=氷の国、というほどですから氷河を逃して帰国なんてことのないように、ぜひ氷河ツアーに参加してみましょう!

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