アイスランドのレスキュー隊
アイスランドのレスキュー隊とはどんな団体なんでしょうか? レスキュー隊の一員になることはできるのでしょうか? どれくらいのレスキューチームがあって、誰を助けているのでしょう?アイスランドではどんな緊急事態が発生するのでしょうか?
アイスランド人は、自国のレスキュー隊に大変な誇りを持っています。レスキュー隊は皆優秀なプロで、その優秀さから国際的にも注目を浴びています。国中に散らばる約100の個々のチームから編成されるレスキュー隊には約4000人の隊員がおり、一年を通してその役目を担っていますが、なんと彼らは全員ボランティアなんです!
毎年、1200件にも及ぶ緊急電話があり、その数は観光客数の増加とともに増えています。アイスランド人だけでなく、観光で訪れた旅行者も、アイスランドの変わりやすい天候やその厳しい自然のために、命にかかわるような状況に直面することがあります。もしくは、大西洋の荒波に近づきすぎたり、ハイランドを不適切な格好でハイキングするなど、思慮の浅い行動をとる人もいます。
レスキュー隊は警察や消防隊と密接に連携しながら、レスキューを行いますが、彼らとの大きな違いは、レスキュー隊は皆ボランティアだということです。この記事では長年の活動の様子を紹介します。
アイスランド語ではランズビョルグ(Landsbjörg)、英語では ICE-SAR (Icelandic Association for Search and Rescue) と呼ばれるレスキュー隊ですが、発足したのは1999年のことです。数あるレスキューチームが連携することで発足しましたが、その中でも一番古いレスキューチームは1928年にまでさかのぼります。レスキュー隊は陸上だけでなく海上でも活動します。実際に、海での船や船員の損失が多かったことがレスキューチーム結成のきっかけとなりました。今日では彼らは優秀な技術と隊員、それから設備を持ち、いつでも緊急事態に対応できるように備えています。
どんな緊急事態があるのでしょうか?
アイスランドには野生動物や危険な動物はいませんし、地震にしてもそれほど大きいものは発生しません。また火山の噴火も周囲にはだれも住んでいないことが多いです。それでは、どんな緊急事態が発生するのでしょうか?
アイスランドの天気、それ自体がアイスランドの一番の脅威です。アイスランドの天気は常に変化し、風は強く、多くの人はどんなに急に晴れから嵐に変わるかということを十分に理解していません。
アイスランドの自然は、デリケートで美しいですが、同時に大変恐ろしいものでもあります。氷河の割れ目や、溶岩の大地にある穴に落ちる人がいますし、冬には雪崩の危険もあります。荒れた海は船や船員の大きな脅威となりますし、天候が悪化すれば、軽装でハイキングをしている人は凍死する可能性もあります。また、吹雪の中では車が動かなくなることもありますし、このようなことはアイスランド人、旅行者を問わず誰にでも起こり得ることです。
また、アイスランドでは人だけでなく、家畜も悪天候の際には救助が必要となることがあります。アイスランドの羊たちは夏の間、ハイランドや山の中を自由に歩き回りますが、夏の終り、農場の人に見つけられることなく、ハイランドに取り残されてしまう羊もいます。そんな羊や馬、牛を救助しに行くために、レスキュー隊に要請が入ることがあります。
アイスランドの旅行に際しては、必ず出かける前に行き先を誰かに伝えるようにしましょう。オンラインで、レスキュー隊に事前に旅程表を提出することもできます。また、Guide to Icelandのアイスランドでの安全運転の仕方や、必読マニュアルも読んで、アイスランドでの運転について事前に勉強しておきましょう。
どうやったら、レスキュー隊の一員になれるのですか?
レスキュー隊の一員になるには、まずレスキューチームの一つに弟子入りし、レスキューで必要な特殊技術を学ぶ必要があります。それから、アイスランド語を話すことも必要です。
応急処置を学ぶほか、トレーニングでは氷河のど真ん中に取り残されたり、テントと寝袋で夜を明かし、昼夜問わず起こされ「失踪者」の捜索をする、コンパスとGPSのみを頼りにナビゲートするなど多岐にわたります。それからハイランドでのハイキングも多く行われます。
海上でのレスキューを専門にするチームなど、特殊なスキルを要するチームに入ることもできます。海上でのレスキューのためには、氷のように冷たい大西洋の海に潜ったり空からの救助の訓練や、スカイダイビングなども行います。このトレーニングは通常2年ほどかかります。
トレーニングは楽しく、またメンバーも楽しい人ばかりで様々なアクティビティも行われますが、基本的にはレスキュー隊は給与はありません。体を常に鍛えておく必要がありますし、防寒着や寝袋などは自分で購入しなければなりません。ただし、トレーニングを始めたときに体力がなくても大丈夫でしょう。2年も山や氷河をハイキングしていれば、トレーニングが終わるころにはしっかりと体力がついてるはずです!
募金でまかなわれるレスキュー隊
レスキュー隊の資金は主に2つの方法でまかなわれます。一つは上の写真のようなレスキュー隊員のキーホルダーの売り上げ、もう一つは、大みそかの花火を売った売上です。
このレスキュー隊員たちは小さなブラスチックでできたキーホルダーで、毎年違うレスキューチームをモチーフに作られています。隊員は女性のこともありますし男性のこともあります。これは性別にかかわらずレスキュー隊員が活躍しているからです。旅行業に関連する会社では、レスキュー隊を支援するため多めに購入します。このレスキュー隊員キーホルダーについての記事もどうぞご覧ください。(英語)
レイキャビクでの大みそか(レイキャビクだけでなく国中でも)は、きっと思い出深い経験ができる時です。国中で信じられないほどの金額が花火の購入に費やされ、その大部分はレスキュー隊の資金となります。このちょっと変わった経験をしてみたかったら、大みそかのレイキャビクツアーに参加することもできます。
レスキュー隊は毎年クリスマスツリーの販売もしています。その他にも、ウェブサイトから募金もできますので、時期を問わずにレスキュー隊の支援ができます。
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