アイスランドでドローンを飛ばす前に知っておきたいこと
アイスランドのドローン撮影事情は?最新の規制やルールはどうなってる?飛行禁止の場所やおすすめの空撮スポットって?などなど、アイスランドでドローンを飛ばしたい方必読!かっこいいドローン空撮映像と共に解説します。
アイスランドで写真撮影ツアーはいかがですか?
この10年で「ドローン技術」(無人航空機;Unmanned Aerial Vehicle)は大きく進歩しました。最新鋭の戦闘機から手軽な自家用タイプまで様々なものが開発され、斬新な4K映像や写真が撮れるようになりました。
物理的に不可能だったアングルやロケーションにアクセスできるようになり、世界中のカメラマンが新たな表現に挑んでいます。まさに撮影技術のルネサンスです。
今までと全く違う世界を見せてくれるドローン撮影。ヘリを飛ばさなくてもハリウッド顔負けの空撮ができるとあって、プロだけではなくアマチュア写真家も沸き立っています。
写真やカメラが好きな人にとって、今は非常にエキサイティングなときなのです。
ヘッダー画像提供:Max.Pixel.
最近では趣味用ドローンの価格がどんどん下がり、空撮をますます手軽に楽しめるようになりました。
フィルムからデジタル、手持ちからGoPro、35mmから4K…写真のイノベーションはとどまるところを知りません。新しい表現のスタイルや構図が叶うドローンが世界中で人気を博しているのは当然のことでしょう。
そしてドローン撮影愛好家の間でちょっとした話題になっているのが、アイスランドです。手つかずの自然が織りなすドラマチックな風景は今までも数々の映画監督のハートを射止めてきました。それが今度はドローン・ファンの間でも注目を集めているわけです。
アイスランド国内では、ELKOという家電量販店などでドローンが買えます。5000ISKから333,000ISKくらいのモデルが販売されています。レイキャビク中心部にはDJI Reykjavíkというドローン専門店もあり、充電器やケーブル、ガジェットを忘れてきてしまった、というような場合に便利です。
しかしドローンが手に入りやすくなったことでトラブルも増えています。最も大きな問題は、操縦技術やマナーが未熟なユーザーが増えていることです。
アイスランドのドローン規制事情
新しいテクノロジーが登場すると、まずは寛容と試行錯誤の期間があります。ドローンの飛行についてどんなルールを設けるべきか、世界中の政府が手探りで対応を続けてきました。このいわば無法地帯で、非常に愚かな使い方をする人も登場しました。
例えば、空港やホワイトハウスの上空を飛行させたり、刑務所にドラッグを持ち込もうとしたり。もう少し軽いところでは、猫などのペットを乗せて飛ばしてみたり、といった事例もありました。
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2016年には、多くのアイスランド人は趣味で飛ばすドローンを迷惑に感じるようになりました。ドローンの数が多かったことと、パイロットの操縦技術の未熟さがその主な原因です。アイスランド・ドローン協会のBrandur Bjarnason Karlssonは当時次のように発言しています:
「大勢の人がいる上をドローンが飛行するのを快く思う人はあまりいない。こうした機器の安全を確保するための経験値がまだ足りないからだ」
この発言を受けてアイスランド政府は、ドローンの使用を規制する方向に舵をきりました。現在の規制では、趣味や商業用のドローン飛行に許可証は必要ありません。しかし常時守らなければいけないルールがいくつか定められていますので注意が必要です。
こうした規制に違反した場合、罰金や機器の没収といった処罰や、最悪の場合は逮捕される可能性もあります。またドローン規制はまだ発展途上ですので、いつまた変わるかわかりません。アイスランドでドローンを飛ばしたい方は、渡航前に必ず最新の規制状況をチェックしてください。
アイスランドにおけるドローンの使用を定めたルールは以下の通りです(2018年現在):
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いつ何時も他者のプライバシーを尊重すること。たくさんの人が集まっている場所の上空を飛行してはならない。
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120メートル以上の高さで飛行してはならない。
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ドローンの飛行は日の出から日の入りまでの時間に限る。それも晴れて見通しが良く、風が弱い日でなければいけない。ドローンを目視で確認できる範囲内で飛行すること。
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アイスランド政府や軍の施設の近くでのドローンやカメラ付ドローンの使用は禁止する。
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レイキャビクでは建物より高い高さでドローンを飛ばしてはならない(レイキャビク国内線空港が都心に近いため)。都市部では、ドローンの重量は3キロ以下とし、氏名・住所電話番号を記載しなければならない。
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商業空港の半径2km以内、及びその他空港の半径1.5km以内を飛行してはならない。また国立公園、病院、国有施設及び発電所の上空も飛行禁止とする。
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公共の建物、及び非都市部の一切の建物については、半径150メートル以内を飛行してはならない。都市部の全ての建物については、半径50メートル以内を飛行してはならない。ただし住居の場合は土地所有者の明確な許可を得ていればこの限りではない。
こうした規制にも関わらず、違反行為はなかなか無くなりません。この数か月だけで、ドローンが救出作業を行っていたヘリの近くを飛行し邪魔になったというニュースや、ドローンを使って他人のリビングルームをのぞき見しマシンを没収された、というニュースがありました。
アイスランドのメディアはかなり狭い業界で、地元の人から信頼できる情報がたくさん上がってきます。「マナーが悪い観光客」はすぐネタになるので、新聞沙汰になりたくない人はドローン規制をよく守って責任のある態度で撮影してくださいね。
アイスランド政府(Icelandic Transport Authority)が定めるガイドラインはこちらです:
ドローンの持ち込み方
ドローンをすでにお持ちの方は、アイスランド旅行にマイ・ドローンを持っていきたいとお考えではないでしょうか?そうなると、スーツケースに入れるか手荷物にすべきか?ドローンのバッテリーは機内に持ち込めるの?専用のトラベルバッグを買うべき?などなど、たくさんの疑問がわいてくると思います。
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画像提供:Markus Eigenheer (Wikimedia. Creative Commonsより)
ケースバイケースで事前によく考え、利用する予定の航空会社に直接問い合わせるのがベストですが、ここでは基本事項をいくつかまとめておきます。
まず、ドローンは非常にデリケートです。普通のスーツケースの扱われ方に(往路も復路も!)耐えられるほど頑丈ではありません。荷物としてチェックインする場合は念入りに梱包し、バッグの外側に “FRAGILE”と明記しましょう。
また、荷物が紛失した場合に航空会社が保証してくれる上限は、モントリオール条約で約$1000 までと定められています。乗継でアイスランドに来る場合、当然ですが乗継回数が多いほど故障や盗難のリスクが上がります。旅行の主目的がドローン撮影なら、到着前から撮影計画がとん挫するリスクをとるべきか、よく考えてから予約しましょう。
ありがたいことに最近ではあらゆるサイズや形状のドローンが発売されています。DJI Phantom、DJI MavicやDJI Sparkのようなモデルなら、手荷物として機内に持ち込めるでしょう。もっと大型のものは、保険付きの別便で送ることもできます。DJI Inspire やDJI Matriceのようなモデルなら、こちらのやり方の方がいいかもしれません。
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ドローン専用のバッグを用意する場合は、自分の機材向けに設計されたものを選びましょう。パーツがきっちり収納できますし、何よりもマシンをきちんと保護できます。
ハードシェル・タイプはソフトシェルよりも値段は張りますが、旅行頻度が高い方にはおすすめです。
もう一つ非常に重要なことがあります。ドローンを持って海外旅行に行かれる方はLipoバッテリー用のセーフティーバッグを必ず用意しましょう。バッテリーは危険物に相当するので、リポバッグがないとバッテリーを航空会社に没収される可能性大です。
リポバッグなら密閉性が高く、バッテリーが発火しないようにできているので安心です。
アイスランドのドローン撮影おすすめスポット
美しい風景や個性的な地形、孤独な荒野に魅せられて、アイスランドには世界中からカメラマンや映画撮影のクルーがやってきます。アイスランド観光で一番大事な持ち物はカメラだと言っても過言ではないでしょう。
信じられないほどファンタスティックで壮大で、人類が誕生する前の世界にタイムスリップしたかのような風景。そんな雰囲気を写真や動画に残すことができれば、パフィンのぬいぐるみやハットルグリムス教会のキーホルダーよりよほど素敵なお土産になります。
撮影に際しまず覚えておいていただきたいのは、アイスランドの国立公園では娯楽のためのドローンの使用は禁止されているということです(2016年現在)。アイスランドの国立公園は①ヴァトナヨークトル国立公園、②スナイフェルスヨークトル国立公園、③シンクヴェトリル国立公園の三か所です。
特にヴァトナヨークトル国立公園は広大で、スカフタフェットル自然保護区やヨークルスアゥルロゥン氷河湖もこの中に含まれます。しょっちゅう新しいエリアが加わったりもするので注意してください。
国立公園でのドローン禁止は野生の動植物を保護するために設けられた規制で、文明を離れて静かに自然を楽しみたいという多くの人のニーズにも適っています。
アイスランドの国立公園は本当に静かです。でも「誰も見てないからやっちゃえ!」などという誘惑には絶対に負けないでください。実際、ドローンのブーンという唸りが耳障りだったという観光客からの苦情が増えており、公園のレンジャーやスタッフに見つかれば法律に従って処罰されます。
但し、国立公園でも研究調査のためのドローン飛行は認められています。ヴァトナヨークトル国立公園ではこうしたドローンが特別に許可を得て飛んでいる場合があります。
国立公園内だけでなく、アイスランドの人気観光地ではドローンが禁止になっている場所がほとんどです。訪れる観光客数が多い上、ドローンを飛ばす人も近年増えたためです。たくさんのドローンが飛び回っていたらせっかくの雰囲気が台無しになってしまうので当然の措置と言えるでしょう。
こうしたドローン禁止の観光地にはグトルフォスの滝、セリャラントスフォスとスコゥガフォスの滝、レイニスフィヤラのブラックサンドビーチなどがあります。ドローン規制対象エリアかどうかわからない場合は標識を探しましょう。ドローンの絵の上に、禁止を意味する赤い線が斜めにひいてあり、"DRONES ARE FORBIDDEN"と英語でも書かれています。
国立公園ではないエリアで、且つこうした標識が見当たらない場合は、上述した政府のガイドライン内であればドローンを飛ばして大丈夫でしょう。
ドローン撮影におすすめの場所としてはウェストフィヨルド地方(Westfjords)があります。入り組んだ海岸線、たくさんの野鳥が巣を作る断崖絶壁や美しい風景などは空撮にもってこいです。またウェストフィヨルド地方は人口密度が低いので、比較的安全にドローンを飛ばせるのもポイントです。
具体的にはアルナルフィヨルズル(Arnarfjörður)というフィヨルドやロイジサンドゥル(Rauðisandur)の砂浜などがおすすめです。ただし、ラゥトラビャルグ(Látrabjarg)では野鳥保護の観点からドローンの使用は禁止されていますのでご注意ください。またディンヤンディの滝(Dynjandi)も、静かな景観を保つためにドローンの使用は禁止です。
これらのおすすめスポットはほんの一部にすぎません。アイスランドという島は基本的にドローン空撮に適していて、規制さえ守ればどこで撮っても魅力的な映像ができてしまうからです。
旅行中にドローンがあれば、インスピレーションが沸いたところですぐに撮影を始めることができます。
ドローン空撮で作った動画や写真は、旅先での感動を家族や友達と共有するのにもぴったり。ただのスライドショーとはなんといっても迫力が違います!
但しここまでお伝えしてきたように、アイスランドでドローン空撮をされる方はくれぐれも最新の規制をチェックしてから出発してください。操縦技術のブラシアップも欠かせません。アイスランド旅行でドローンを最大限活用するためには、事前に構図やハンドリングの練習しておくのが近道です。そうすればきっと、悔いのない撮影旅行になりますよ!
以上、アイスランドでのドローン空撮に関する規制やアドバイスをお届けしました。実際にアイスランドでドローン撮影をしたことがあるよ、という方も是非情報をお寄せください!おすすめの撮影スポットや実際にあったトラブルなど、旅行に役立つ情報やご感想をお待ちしています。
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